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『あさイチ』出演でも話題のジェーン・スーさん、いま一番伝えたいこと「誰かに『私にふさわしい相手』として選ばれなくてもいい」

コラムニストのジェーン・スー

コラムニストのジェーン・スー氏

『あさイチ』(NHK、6月2日放送)の出演で注目を集めているコラムニスト、ジェーン・スーさん。彼女の最新刊『女らしさは誰のため?』(脳科学者・中野信子氏との共著)に掲載されているコラム《あなたはあなたが思うよりずっと大きい》が「感動する」と話題になっている。今回は書籍の中から当該コラムを全文公開。「女性が野心を抱くなんてみっともないこと」――そんな風潮が残るなかで育ってきた彼女が、いま一番に伝えたいこととは。

 * * *
 アメリカを代表するアーティストのビヨンセは、2018年のコーチェラ・フェスティバル(アメリカで行われる大規模野外音楽祭のひとつ)でアフリカ系米国女性として初めてヘッドライナー(大トリ)を務めました。2時間に渡るライブでは自分たちの文化の力強さと美しさを余すところなく伝え、女性に誇りと力を与える素晴らしいパフォーマンスを行いました。Netflixでリハーサルも含めたライブ映画『HOMECOMING』が観られるので、ぜひ観てください。勇気づけられること間違いなしです。

 ライブのモノローグパートで、「以前は、黒人女性として私が小さな箱の中にとどまっていることを世界から望まれているように思っていた」とビヨンセは語りました。私はアジア人ですが、小さな箱の中に収まっていることを望まれる感覚はわかります。出しゃばり過ぎないとか、目立ち過ぎないとか、言いたいことを言い過ぎないとか、そういうことです。

 子どもの頃から、感じた通りに動くと、それはいつも「過ぎる」状態として捉えられていました。フル出力でやりたいだけやったら、誰かを傷つけたり嫌な思いをさせたりしそうな不安が常にあったのです。実際、人の心を傷つけたこともたくさんあります。ごめんなさい。

 言葉が乱暴だったり言い方がきつかったり力の加減がわからなかったりと、コミュニケーションの方法に難があったことは認めます。しかし、私が男だったら同じように感じたかはわかりません。本当の私はもっと大胆だし、もっと大きな声が出るし、足を踏み鳴らして動きたい。体だってぐるんぐるん動かしたい。もっともっと、私が感じたことを表現したい。でも、そうしたらギョッとした顔をするんでしょう? おかしな子だって笑うんでしょう? あまりにもみんなと違うからって。

 あなたはどうですか? もっと大きな声で笑ったり、好きなときに歌を歌ったり、踊ったり、思うことがあるときは意見を言ったりできるのではないですか? あなたらしさを、誰かにたしなめられて引っ込めたことはありませんか? 野望や野心とまではいかなくても、自力で叶えたい夢や希望はないですか? 私はそういうタイプではないと、勝手に思い込んではいませんか? もう若くはないと、限界を自分で決めていませんか? 他者の機嫌を損ねないこと、周囲とうまく馴染むこと、気を回してリーダーのよきサポーターとなること。これらは本来、誰かの庇護のもとでなければ生きていけない人が採る手段です。あなたはどうでしょう。誰かの支配下になければ本当に生きられませんか?

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