勝率5割を行き来する巨人。投手陣が不安定なため、なかなか上昇気流に乗れない。3年連続V逸となれば、原辰徳監督に対する風当たりが強くなるが、今年が3年契約の2年目。契約は来年まで残っている。
原監督が来季も続投なら、気になるのが小林誠司(34)の動向だ。今年3月に侍ジャパンでWBCに出場した大城卓三(30)が不動の正捕手となり、出場機会は少ない。今季のスタメンマスクは2試合のみ。途中出場が多く、13試合出場で8打数0安打、打率.000、0本塁打。6月9日のソフトバンク戦では大城が休養したが、岸田行倫(26)が初のスタメンマスクをかぶった。「将来の正捕手」として鉄砲肩を誇る22歳の山瀬慎之助も控える。
「捕手陣の中で小林の序列が下がっているのは事実です。非力な打撃がネックのため、守備面でアピールしたいところですが、途中出場で失点を重ねるケースが多い。投手との共同作業なので小林だけの責任ではないですが……。若返りを図る中で、今後は山瀬を2番手捕手として育てていくことになるでしょう。小林は今年が4年契約の最終年。巨人は選手個々の野球人生を考え、他球団で出場機会が得られるような場合ならトレードに積極的です。小林を交換要員に、手薄な投手陣を補強する可能性は十分に考えられる」(スポ―ツ紙デスク)
小林は5月10日に海外FA権を獲得した。ただ、今オフにFA権を行使して移籍するのは現実的ではないだろう。年俸1億円でBランクのため、獲得する球団はプロテクト枠から外れた選手を人的補償で放出するか、金銭のみの補償でも年俸の6割となる6000万円を負担しなければならない。
「小林がFAで移籍するなら2019年オフだった。この年に原監督は3度目の監督に復帰しましたが、炭谷銀仁朗(現楽天)がFA加入したことで出場機会が4年ぶりに100試合を割った。それでも盗塁阻止率.419は4年連続でリーグトップ。FA権を行使したら、複数球団が獲得に名乗りを上げたと思います。でも小林は年俸1億円で4年契約を選択。近年はベンチを温める機会が多いし、当時より肩の強さが落ちているので市場価値が下がっている」(スポーツ紙記者)
残された選択肢はトレードとなる。小林が置かれた状況を考えると、最も可能性が高いといえるだろう。他球団はどのような評価をしているのだろうか。パ・リーグの編成担当は明かす。
「FAで獲るのは難しいかな。でもトレードでは魅力的な選手。インサイドワークに長けているし、グラウンド上の司令塔としてリーダーシップも取れる。小林はバッテリーを組んだ投手の信頼が厚い。数値化できるものではないが、安心感は重要な要素です。捕手は経験値がモノを言うポジション。1人の捕手が全試合出場する時代ではないし、2番手捕手の需要が高まっている。今年FA権を取得予定のオリックス・若月健矢の動向も影響を及ぼす可能性がある」