その日、東京は夜半から雨予報だった。5月下旬の午後10時頃、一台のヨーロッパ車が慣れた様子で駐車場に入庫。運転席から出てきた女性は、湿った空気を感じて雨を警戒したのか、やや小走りで建物へと入っていった。その間、わずか数メートルほど。流行のデニムのバギーパンツに、肩が全開になった百合柄のトップス、胸元まで下ろしたロングヘアをなびかせて歩く彼女は、明らかに一般人ではないオーラを放っていた。
いくら“女優引退”を宣言したといっても、その美貌までは隠しようがない。約3年半ぶりに見かけた沢尻エリカ(37才)は、スタイルもルックスも、かつて多くのファンを魅了した当時のまま。年齢を重ねたぶん、新たに妖艶さも感じさせる──。反省と贖罪の日々を送ってきた沢尻。いま、彼女の周辺がにわかに騒がしい。
「女優復帰は考えていません」。東京地裁の法廷で、語気を強めて沢尻がそう誓ったのは2020年1月のことだった。2019年11月に麻薬取締法違反の容疑で逮捕された沢尻はこの日、緊張した面持ちで、しかし力強く、過去の自分との決別を宣言した。判決が出たのはその翌週。「執行猶予3年、懲役1年6月」が沢尻の支払うべき賠償だった。今年2月、その執行猶予が明けた。
「時を前後して、インターネット上では沢尻さんに関するさまざまな噂が飛び交いました。六本木のラウンジで働き始めたとか、配信系のドラマに出演が決まったとか……結局、どれも全くのデタラメでした。彼女の復帰が近いとみる人、それを待っている人の多さが感じられる騒動ではありました」(芸能関係者)
この3年半、法廷で誓ったように、沢尻は完全に表舞台から消え、夜の街でも目撃談は一切聞かれなくなった。
「逮捕されるまでの沢尻さんは、渋谷のクラブなどにたびたび顔を出していましたが、それもピタリとなくなりました。遊びに出ないだけでなく、携帯電話を解約し、当時の遊び仲間の連絡先もすべて消去。人間関係をリセットしたんです」(前出・芸能関係者)
それまでの多忙な日々とは一変した静かな毎日。その生活を支えたのは、沢尻を見守り続けてきた家族だった。アルジェリア系フランス人のリラさんと資産家だった日本人の父親のもと、沢尻は2人の兄と共に東京で生まれ育った。幼い頃は裕福な家庭だったが、父親が事業に失敗し失踪。彼女が高校生の頃、父親ががんで他界、さらに不慮の事故で次兄も亡くした。沢尻の知人が明かす。
「不幸を乗り越えた家族の結束は非常に強い。この3年半は母と兄が心の拠り所だったそうです。エリカには親友と呼べる人は少なく、コロナ禍に入ったこともあり、判決後はほとんど人と会っていません。主に家族としか話さないという“引きこもり状態”が長かった」
コロナ禍も落ち着き、徐々に外出できるようになった頃、沢尻は気分転換で家族と行ったキャンプにハマっていった。一時期は、アウトドアを仕事にすることも考えたほどだ。キャンプ以外では、家で本を読んだり古い映画を見たりして過ごしていたという。
「ほかにも今後に備えて外国語の勉強はしていました。昔からの習慣であるヨガは続けていたようです。エリカは太りやすい体質を気にして、前々からヨガやその原点である考え方、アーユルヴェーダを生活に取り入れていました」(前出・沢尻の知人)