芸能

劇場版コナン最新作が興行収入130億円突破 何度でも楽しめる“いつもひとつ”じゃない注目ポイント

公開から約80日。二度三度見て気づくよさもあった

公開から約80日。二度三度見て気づくよさもあった(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 大ヒット公開中の『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』。6月25日には興行収入130億円を突破し、“コナンフィーバー”はとどまるところを知らない。公開から約80日、あの感動を大迫力のスクリーンで楽しめるチャンスもあとわずかとなった。既に映画を見たという人にこそ知ってほしい、何度だって楽しめる“いつもひとつ”じゃない注目ポイントを映画ライター・のざわよしのり氏に聞いた。

 * * *
 本作の大きな魅力は“スクリーン映え”する映画だということ。「劇場版コナン」の名物になっている大型施設の爆発劇は本作も必見で、クライマックスのスリルを盛り上げるひとつの鍵となっている。劇場版第一作『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』以降、時代と共に進化を続ける爆破エフェクトは、大迫力のスクリーンでこそ見届けてほしい。

 さらに、一度見ただけでは見逃しかねない人物描写にも注目。監督の立川譲氏はジャズに取り組む3人の若者の挫折や再起を描いたアニメ映画『BLUE GIANT』を手がけたが、『黒鉄の魚影』でも繊細な人物描写が光る。

 例えば、日頃はクールな灰原哀が歩美の布団をそっとかけ直す仕草には、実年齢は年上の灰原の優しい素顔が垣間見える。ほかにも、作品後半のミステリーに絡むある人物の仕草など、細やかな動作の一つひとつが人物に現実感と厚みを持たせているのだ。

 人物描写だけでなく映画ごとに変わるタイトルバックのデザインも秀逸。前作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』は、ハロウィンに沸く渋谷駅周辺、本作は潜水艦の中をカメラが進みながらナレーションがかぶさる。同じメロディのメインテーマでも1作ごとに観客を飽きさせない工夫、これから始まる物語へ誘う没入感抜群な演出の妙味は、何度も繰り返し味わいたい。

 そして何といっても本作の見どころは灰原にフォーカスしたドラマだろう。コナンとはあくまでよき協力者の関係…のはずだが、これまでの作品ではコナンを本気で心配したり、やきもちを焼く表情も度々描かれてきた。そして本作では、コナンこと工藤新一に寄せる心情がより強い輪郭をもって描かれる。果たして、彼女の思いは届くのか──。

 今日的な顔認証システムや、防犯カメラを利用したトリックなど、推理ものの仕掛けもふんだんな劇場版コナン。何度見ても楽しめる細部へのこだわりを感じに、ぜひもう一度劇場に足を運んでほしい。

※女性セブン2023年7月20日号

今回のキーパーソンは灰原哀。彼女の心情の繊細な描かれ方にも注目だ

今回のキーパーソンは灰原哀。彼女の心情の繊細な描かれ方にも注目だ(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

劇場版コナンならではの手に汗握るミステリーも見どころ

劇場版コナンならではの手に汗握るミステリーも見どころ(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

関連記事

トピックス

本格的に中国進出をめざすならば…(時事通信フォト)
《年内結婚報道》橋本環奈と中川大志の「結婚生活」に立ちはだかる“1万kmの距離” 2人の異なる“海外進出の希望先”
週刊ポスト
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
錦織圭とユニクロの関係はどうなるか(写真/共同通信社)
「ご本人からの誠意ある謝罪があった」“ユニクロ不倫”錦織圭、ファーストリテイリング広報担当が明かしたスポンサー契約継続の理由
週刊ポスト
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
止まらない「オンカジドミノ退社」フジテレビ社内で話題を呼ぶ
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン