信念をぶつけた相手はもういない(時事通信フォト)
インターナショナルスタンダードに合うような、合理的な社会制度作りもできなかった。例えば、LGBTの差別解消も結局、安倍さんを頂点とした国会の中での右派という人たちが後退させた。それから選択的夫婦別姓が進まない。これをやっていないのは日本だけなんです。女性の社会活動や経済活動の阻害になっている。あげたらキリがない。
良い面は株価が上がったことぐらい。株価上昇で一部の投資家は潤ったけれど、格差が広がった。株で潤う人たちにとってはいい政治家だったかもしれないが、大半の人は賃金が上がらないのが、アベノミクスの最大の失敗だと思う。
ただ、安倍さんがいなくなって寂しいのも事実。安倍さんは自分の意見をぶつけてくるんですね。私もそれに対して自分の意見を言うわけですよ。信念と信念のぶつかり合いがあったが、今、岸田さんとやっていても、ご自身の意見は「様々、様々」と言ってるだけで、寂しいです。
【プロフィール】
辻元清美(つじもと・きよみ)/1960年生まれ。早稲田大学在学中に国際NGO設立。1996年、初当選。旧立憲民主党初代政務調査会長、同幹事長代行、立憲民主党副代表などを歴任。比例区選出、当選衆7回、参1回。
※週刊ポスト2023年7月14日号