加藤紘一・元幹事長の三女、鮎子氏(時事通信フォト)
一方、参院では山東昭子・前参院議長(麻生派)、青山繁晴氏(無派閥)、和田政宗氏(無派閥)の安倍派以外の3人が「賛成できない」と表明して本会議を退席した。安倍派の世耕参院幹事長は「党議拘束に反した行動」として3人を厳重注意処分とし、和田氏は国対副委員長を更迭された。安倍派は切り崩されたのだ。安倍派の若手議員が悔しそうに語る。
「官邸から造反を出すなという指示が出され、派閥の幹部たちは反対していた議員たちを個別に説得していった。安倍先生が存命であればこんなことにはならなかったはずです」
自民党保守派を代表する派閥だった安倍派はいまや“骨抜き”にされ、安倍派5人組は岸田首相に物言うどころか、軍門に下ったことがわかる。
“最大派閥といってもその程度か”──岸田首相がほくそ笑む顔が目に浮かぶようだ。
しかし、首相が長男・翔太郎氏の公邸私物化スキャンダルやマイナンバー問題の失政を糊塗しようと政敵粛清の準備に力を入れるほど、内閣支持率は急降下。読売新聞の6月世論調査は支持率41%と前月より15ポイントも落ち込んだ。野上氏が指摘する。
「失政の責任を政敵に負わせる人事は党内では通用しても国民の目は誤魔化せない。内閣改造後に解散・総選挙に臨めば、有権者から手痛いしっぺ返しを受けるでしょう」
次の総選挙でそれがはっきりするはずだ。
※週刊ポスト2023年7月21・28日号