フジテレビ・永島優美アナ
地上波で扱うにはニッチなテーマをどこまで許容するのか?
やはりこの手の番組では、ネタ切れとの戦いが大きな課題となっていくのではないか。けれど「あんまり今は恐れてないんです」と島本は言う。
「これ、面白そうだなっていうテーマが、湧いてくるんですよ(笑)。だからまだまだやりたいものがありますし、あと、SNSで一般の方からこんなバカせまい史を調べてほしいっていうのを募集したら面白いものがたくさん来ているんで、今のところ全然ネタ切れの心配はしていません」
テレビ界の歴史だけでなく様々な分野に広げたり、その発表の仕方の可能性も模索したいという。事実、先日放送されたスピードワゴン・小沢一敬による「全国のライブハウスにある内田有紀のサイン史」はミステリー仕立てになっており、スリリングだった。
また、マヂカルラブリー・野田クリスタルが研究発表した「バカせま偉人伝 日本初のマッチョ 若木竹丸伝説史」は、ゴールデンはおろか、地上波で扱うにはあまりにもマニアックな題材だった。どこまでニッチなテーマを許容しているのだろうか。
「これはもう僕らプロデューサーサイドとディレクターサイドと喧々諤々、意見交換を常にしています。ディレクター陣はもっと深く、もっと狭くというネタを提案してきます。そのマインドはこの番組にとって大事なメインエンジンなんですけど、プロデューサー側からすると、ほとんどの人が知らない人物のさらにせまい歴史を取り扱うとなるとちょっと怖い。
若木さんの研究を進めるときもやっぱり議論になったんです。なかやまきんに君とか横川尚隆さんとか、今人気のマッチョな人を入口に遡っていく見せ方もあるんじゃないかって。けれどディレクターは、“若木さんに関してはその助走はいらない。とにかく面白いから見てください”と。
その見せ方論はどちらが正解だったかはわからないですけど、僕も収録であのVTRを観てグッときたし、この研究を本当にやりたいと言っていた野田さんが取材対象者に直接会いに行き、その熱意が先方に伝わって貴重な情報を提供していただけたのもスゴいし、なかなかこういうテレビって最近ないなって思ったんですよね。だからあれは、僕の負け。3テーマあるとしたら1個くらいはそういうテーマがあってもいいと思い直した瞬間でしたね」