国内

国立循環器病研究センター・大津欣也理事長に論文不正の重大疑惑 厚労省に報告され、同センターは「第三者調査委員会を立ち上げる」と説明

論文不正の疑惑が発覚した国立循環器病研究センターの大津欣也理事長(同センターHPより)

論文不正の疑惑が発覚した国立循環器病研究センターの大津欣也理事長(同センターHPより)

 心臓病の分野で日本の最高権威とされる国立循環器病研究センター(大阪・吹田市)。医療関係者の間では「国循(こくじゅん)」と呼ばれる。心臓病の治療などにおける日本の司令塔ともいうべき存在だが、同センターの大津欣也理事長(64)が20年前から研究論文を不正に改ざんしていた疑惑が判明した。ジャーナリスト・岩澤倫彦氏と本誌・週刊ポストの取材に対し、同センターは問題を把握しており所管する厚生労働省にも報告済みだと説明。近く第三者調査委員会による調査が行なわれると認めた。7月21日発売の週刊ポストで詳報する。

 大津氏が責任著者となって2003年から2020年にかけて発表した7本の研究論文について、世界の科学者たちが研究論文を検証するウェブサイト「パブピア(PubPeer)」で不正行為の疑いが指摘されたのは今年6月のことだった。同サイトは世界的に物議を醸した「STAP細胞」の論文捏造を、いち早く指摘したサイトだ。

 パブピアの投稿では、大津氏の研究論文に掲載された画像について「別の実験画像の再利用」「実験画像の切り貼り」「コントラスト(濃淡)の加工」などの不適切な処理が施された形跡が指摘されている。疑義が呈されたのはいずれも実験室での基礎研究の論文で、心臓病の原因を探り、治療薬の開発に結びつけることなどが目標だという。

 1983年に大阪大学医学部を卒業した大津氏は、大阪大学医学部附属病院科長(循環器内科)、英国キングスカレッジロンドン循環器科教授などを経て、2021年から国循の経営トップである理事長に就任した人物である。医学の研究論文は、チームを編成して行なうのが一般的だが、不正疑惑が浮上した論文においては、大津氏以外の著者として大阪大・循環器内科グループの医師が多く名を連ねていた。

 岩澤氏と本誌が同センターに質問状を送付すると、広報責任者の企画戦略局長が文書で回答した。大津氏の7つの論文に疑義が提示されていることについては、〈大津は、本件について把握しております。また、厚生労働省には、6月末に報告済みでございます〉としている。7つの論文に対する指摘についての見解を問うと、以下のような回答だった。

〈大津の見解は、以下の通りです。
 本件については、皆様にご心配をおかけし申し訳なく思っております。私は、これまで科学者としての良心に基づき、研究活動を行ってまいりましたが、本件については、今後、本件に利害関係のない第三者のみからなる調査委員会による調査が行われることになっておりますので、私としては、私に対する一切の忖度のない公正中立な調査を行っていただきたいと思います。
 調査には、全面的に協力する所存です。〉

関連記事

トピックス

中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
反論を続ける中居正広氏に“体調不良説” 関係者が「確認事項などで連絡してもなかなか反応が得られない」と明かす
週刊ポスト
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
「全てを話せば当然、有罪となっていたでしょう」不起訴になった大物地面師が55億円詐欺「積水ハウス事件」の裏側を告白 浮かび上がった“本当の黒幕”の存在
週刊ポスト
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
「お笑い米軍基地」が挑んだ新作コント「シュウダン・ジケツ」(撮影/西野嘉憲)
沖縄のコント集団「お笑い米軍基地」が戦後80年で世に問うた新作コント「シュウダン・ジケツ」にかける思い 主宰・まーちゃんが語る「戦争にツッコミを入れないと」
NEWSポストセブン
神谷宗幣氏(写真中央)が率いる参政党は参院選で大躍進した。東京選挙区でも塩入清香氏(右)が当選(2025年8月写真撮影:小川裕夫)
《午前8時の”異変”》躍進した「参政党」、選挙中に激しい応酬のあった支持者と反対派はどこへ?参院選後の初登院の様子をレポート
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン
ブラジルの元バスケットボール選手が殺人未遂の疑いで逮捕された(SNSより、左は削除済み)
《35秒で61回殴打》ブラジル・元プロバスケ選手がエレベーターで恋人女性を絶え間なく殴り続け、顔面変形の大ケガを負わせる【防犯カメラが捉えた一部始終】
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト