『ティーンズロード』の思い出を語る
岩井:しかも女性誌ってだいたい読者モデルの彼氏や夫自慢のコーナーがあって、『ヴァンサンカン』みたいなセレブな奥様向けの雑誌だと弁護士だの外科医だのが出てくるのに、『ティーンズロード』は“旦那は服役中”ですよ(笑い)。
比嘉:それは別に自慢してるわけじゃなくて、単なる事実(苦笑)。レディースの交際相手はだいたい地元のヤンキーだから自然とそうなる。
岩井:出てくる女の子たちはみんなアイドルや女優じゃなくて一般人のレディースだったから、自分だけの“推し”を見つけるのも楽しかったですね。モデルばりにきれいな子もたくさんいたけれど、日本一のレディース『スケ連』ののぶこさんは別格ですね。貫禄とオーラがものすごくて。
比嘉:取材で何百人とレディースの子たちに会ってきましたけど、メンバーに履歴書を書かせてたのも、事務所を構えていたのも、後にも先にも彼女だけでしたね。
岩井:ハリウッド女優でいうと、オードリー・ヘプバーンとか、エリザベス・テイラーばりの“伝説の女”(笑い)。いまってどうされているんですか?
比嘉:昔と変わらず地元の豊橋で元気に暮らしているみたいです。コロナを警戒してるのには笑っちゃったけど。
岩井:彼女たちの独白とか不良たちの日常に迫るドキュメンタリー記事も好きだったなあ。《スケ連OBのスナック訪問》みたいな楽しげな読み物から《家族の絆って何?》とか《定時制高校に行こう!》のようなシリアスなものまで幅広かった。
比嘉:そうなんですよ、案外読み物はシリアスなものが多いですね。でも編集部員が4人しかいなかったから、ほとんど自分で取材して原稿も書いていました。だからどの記事も鮮明に覚えています。
岩井:『ティーンズロード』の記事って一つひとつが印象深いんですよね。だから『特攻服少女と1825日』を読んで、当時の誌面がばーっと映像で浮かんできましたよ。彼女たちの特攻服も、乗ってるバイクもすごいビジュアルだから、ドラマとか映画にしたら面白いでしょうね。もし映像化したら、私もスナックで「昔はヤンチャしてさぁ……」なんてクダを巻くレディースOBとして出してもらえたらと思ってます(笑い)。
比嘉:ははは! 地方に取材に行ったとき、岩井さんみたいなママ、たくさんいましたよ(笑い)。ありがたいことに映像化したらどうかっていう声もよくいただくんですけど、いまの俳優さんが当時のやつらを演じようにも顔が全然違うんじゃないかと思っちゃう。
岩井:確かに、当時は男も女ももっと老けていたかも。