その一方で、コロナ禍の巣ごもり需要を経て飛躍的に増えた配信再生数も評価指標に組み込まれるようになりました。しかし、バラエティはドラマに比べて配信再生数で大きく劣るだけに、より若者の間で話題になり、X(旧ツイッター)のトレンドワード入りするような企画が必要。その点、学校や学生にスポットを当てた番組は、当事者や同世代を中心にネット上の動きが大きく、ネット上での爆発的な盛り上がりが期待できます。
現在の学生たちに響くのは、自ら参加でき、共通の話題になるコンテンツ。前述した番組を見ても、「芸能人ではなく学生が主役になれる」、あるいは「主役になった気分で見られる」という企画がそろっています。制作サイドとしては「だからこそ思わずつぶやきたくなるし、見ていない友人に勧めたくなる」という効果を狙っているのでしょう。
また、現在の学生たちはコロナ禍の影響をモロに受けた世代。いずれの番組からも、「部活動の大会や修学旅行、文化祭や体育祭、入学式や卒業式などが縮小・中止されてしまった学生たちを笑顔にしたい、思い出を作ってあげたい」というテレビマンの思いが感じられます。
自分たちを主役にして楽しませてもらえる上に、優しさも感じられるのだから、番組のイメージは当然良くなりますし、引いては放送するテレビ局への信頼感がアップ。現在の学生たちはとにかくイメージを重視していると言われ、たとえば「ある番組のイメージが良ければ、見てもらい、SNSでつぶやき、レコメンドしてもらえる」だけでなく、前後の番組も「見てみようかな」という気持ちになりやすいところがあります。
さらに、「〇〇テレビの番組なら面白いかもしれない」という局全体への信頼感にもつながっていくでしょう。特に学校や学生にスポットを当てた番組は、学校の楽しさや学生の生き生きとした姿を見せることで、画面から「若い」「楽しい」「明るい」「元気」などのポジティブなイメージを抱いてもらえる可能性が高いのです。
“学校・学生”は難しいジャンル
急増に至る過程を振り返ると、やはり大きかったのは『新しいカギ』の成功。同番組は2021年4月のスタートからチョコレートプラネット、霜降り明星、ハナコという若手芸人をメインに据えたにもかかわらず、決して若年層の支持が高い番組とまでは言えない状況が続いていました。