麻生氏の後継者となる長男の将豊氏(写真/共同通信社)
「最後の仕事だという覚悟」
だが、ここに来て、“政権の大黒柱”である麻生氏が引退を決意したという情報が飛び込んできた。
麻生家に近い地元・福岡のメディア関係者の証言だ。
「麻生家も後援会も、次の総選挙で長男の将豊氏(38、麻生商事社長)にバトンタッチするというのは既定路線で、それを前提に準備を進めている。もちろん、麻生先生もすでに引退する腹を固めています。麻生派会長の座は義弟(千賀子夫人の実弟)である鈴木俊一・財務大臣に譲って、政界入りする将豊さんの将来を託すつもりです。
今、麻生さんが韓国との関係修復に力を入れているのも、台湾で踏み込んだ発言をしたのも、現役のうちに自分がやっておかなければならない最後の仕事だという覚悟を強く感じる。引退表明は近いのではないか」
麻生氏を長年取材してきたジャーナリストの藤本順一氏も同じ見方だ。
「麻生さんが今期限りの引退を考えているのは、最近の政治的な言動からしてまず間違いないでしょう。外交でいえば、麻生さんは政界入りする前の日本青年会議所会頭時代から韓国や台湾との交流に積極的に取り組んできた。いわば、麻生さんのライフワークであり、思い入れが強い。とくに台湾については、かつて日本が中国の主張する一国二制度を受け入れたことにも忸怩たる思いがあり、今回の『戦う覚悟』発言につながった。そういう意味で一連の外遊は政治家人生の締めくくりを強く意識したものと言えます」
麻生氏が外交面や党内政治に積極的に動いているのは、引退を意識しているがゆえの行動だという指摘だ。
“これでもう思い残すことはない”
自民党副総裁として台湾で積年の思いを語った麻生氏はそんな心境だと見られているのである。
※週刊ポスト2023年9月1日号