スポーツ

翌年春のクラシックを見据えた「夏の2歳重賞」 新潟、札幌、小倉は重要な通過点

エフティマイアは父フジキセキ、母カツラドライバー。蛯名正義騎手は全19戦のうち15戦で手綱を取って3勝。桜花賞とオークスは2着、秋華賞は5着。生まれてきた6頭の子、さらに孫にも騎乗している(写真/JRA)

エフティマイアは父フジキセキ、母カツラドライバー。蛯名正義騎手は全19戦のうち15戦で手綱を取って3勝。桜花賞とオークスは2着、秋華賞は5着。生まれてきた6頭の子、さらに孫にも騎乗している(写真/JRA)

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、夏の2歳重賞に挑む陣営の思惑についてお届けする。

 * * *
 夏競馬も終盤に入り、6月以降にデビューした2歳馬による芝の重賞、2歳ステークスが行なわれます。今週は新潟(1600m)、最終週は札幌(1800m)と小倉(1200m)です。距離もコースもバラエティに富んでおり、早々と勝ち上がって前途洋々のエリートたちの出世争いのようにも思えます。

 しかしエリートたちの目標はここではなく、あくまでも来年春のクラシック。牡馬では皐月賞とダービー、牝馬では桜花賞とオークスです。大舞台で持てる力を発揮できるよう、逆算してレースを選んでいくという考え方です。いくつかのレースを使っていく過程で、例えば長い距離の方がよさそうだったらオークスやダービーに照準を定めるし、牡馬で2000mは長いなと思えば、目標をNHKマイルカップに変更したりします。

 ここ数年は猛暑ということもあるので、ここに出走させるかどうかは慎重な判断が必要なところではないでしょうか。スピードは非凡でも若い馬はやはり体力がつききっていません。人間も幼い頃はしょっちゅう熱を出したりお腹をこわしたりしたけれど、小学校高学年ぐらいから寝込まなくなったりするでしょう。成長するにしたがって跳ね返すだけの体力ができてくるのは同じなのかもしれませんね。

 もちろん暑さにもめげずに元気いっぱいならば、2歳重賞のタイトルを獲りにいくという選択肢もあるけれど、やはり来年春に向けての賞金加算の面が大きいと思います。

 かつてこの時期の2歳戦は短い距離ばかりでしたが、徐々にクラシックを頂点とする競走体系が整備されてきました。

 札幌は1997年から1800mになり、4年目にジャングルポケットが勝って翌年のダービー馬に。近年ではソダシやジオグリフがクラシックホースになっています。

 新潟は2002年から1600mになってクラシックへつながり始めました。僕はこのレースで2回勝たせてもらっています。とくに2007年のエフティマイアは師匠である矢野進先生の管理馬で勝てたので特別な思いがあります。矢野厩舎の馬で重賞を勝つのは僕にとって2012年ぶりのことでしたし、矢野先生にとっては久々の重賞勝ち。しかも翌年勇退されたので、最後の重賞勝ちでした。この馬は桜花賞、オークスどちらも2着に頑張ってくれました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
3年間に合計約818万円のガソリン代を支出していた平口洋・法務大臣(写真/共同通信社)
高市内閣の法務大臣・平口洋氏が政治資金から3年間で“地球34周分のガソリン代”支出、平口事務所は「適正に処理しています」
週刊ポスト
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン