ルールを守ると馬鹿を見る
各地で相次ぐ中国人観光客の爆狩りについて、北京在住経験のある中国ウォッチャーでライターの如月隼人氏はこう話す。
「日本と中国では、規則や規範に対する意識が大きく違う。日本では“みんなで決めたルールだから守らなくてはいけない”と意識する。しかし中国では“上の人間が下の人間を縛るためのもの”であり、ルールを守っていたら馬鹿を見るという考えが根強くあります。
また、明文化されていなければ守る必要はないという意識も強い。日本でいう『暗黙の了解』という言葉がなかなか通用しないのです」
無論、中国にも日本人の価値観に近い人々はいるし、文化の違いに優劣はない。ただ、悠久の歴史によって育まれた中国の文化は、日本と大きく隔たりがあることは知っておく必要がある。
「中国社会は損得に関する競争心が育まれやすく、“損をする人間=愚か者”という価値観が定着している。逆に言えば、他の人が気づいていないうちに、うまく利益を得るのは賢い人間。セミの爆狩り動画をアップした女性も炎上など予想しておらず、鼻が高く誇らしい気持ちだったのではないでしょうか」(如月氏)
郷に入れば郷に従えと考えるのも、日本文化の押し付けなのだろうか。
※週刊ポスト2023年9月8日号