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香港の人口が4年前のピーク時近くに回復 行政長官は「吉兆だ」とコメントも手放しで喜べぬ状況

香港の人口増を手放しで喜べない理由とは?

香港の人口増を手放しで喜べない理由とは?

 今年6月末現在の香港の人口が、前年同期比で約15万人増の約750万人に達していたことが明らかになった。1997年に中国に返還された当時、650万人だった人口は増加を続け、2019年には750万人を超えた。2020年に香港国家安全維持法(国安法)が施行されて以来、人口は減少に転じていたが、今年は前年よりも増加となった。香港政府は新型コロナウイルスの感染が下火になったことが大きな原因と分析している。BBCが報じた。

 香港国勢調査統計局によると、今年6月末の香港人口の暫定値は749万8000人で、4年前のピークレベルの750万7000人に近づいている。

 昨年6月末時点で、香港の人口は734万6000人だったので、今年6月末の人口は前年同期比2.1%増(15万2000人)となる。内訳は、 流入人口が17万4000人で、そこから死亡者数から出生者数を引いた2万2000人(つまり出生数より死亡数の方が多い)を差し引いたものが純人口増数となり、合計15万2000人となる。

 香港政府は今年に入って新型コロナウイルス流行による入境の閉鎖措置を解除しており、ほぼ3年間、海外諸国に留まらざるを得なかった香港人と、香港に親族を持つ中国人が香港に流入してきたと説明している。また、同様の理由で、フィリピンやインドネシアなどの東南アジア諸国の家事・介護ヘルパーも香港に流入しているという。

 香港政府トップの李家超行政長官は記者会見で「香港が2019年来の新型コロナウイルスという『黒い嵐』から抜け出し、『統治から繁栄へ』という新たなステージに踏み出したことを反映しており、この人口回復は『吉兆』だ」と歓迎のコメントを発表した。

 しかし、17万4000人の流入人口のうち、香港籍をもつ約10万人を分析すると、そのほとんどが50代以上の高齢者だった。

 これらの人々の多くは 1980年代から90年代にかけてカナダなどに移住し、高齢期を迎えたものの、現地の中国系高齢者施設は入所までに何年もかかることから、24時間体制でケアをしてくれる東南アジアからの外国人ヘルパーがいる香港へ戻ることを選択したとみられている。

 香港の人口が増加したとはいえ、大陸の中国人や外国人ヘルパーはいずれ香港を去るとみられ、香港籍を有する高齢者はこれからの香港の発展を支える働き手とはなりえないのが現状だ。人口構造の面では、香港の総人口に占める高齢者の割合が増え続けており、今後香港への流入者数が増加するにしても、高齢化の影響を無視することはできない状況だ。

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