TikTokを運営するバイトダンス社のシンガポール拠点。2023年8月(EPA=時事)
若者はYouTubeよりTikTokを長く見ている
Googleを傘下に持つ持ち株会社Alphabetによると、YouTubeの広告収入は減少している。Googleの広告事業の収益が前年同期比で減少を見せるのは、2004年に株式公開してから3回目で、2四半期連続の減少となっている。YouTubeの持続的な減速、インフレ率の急上昇や不況に対する懸念などから広告主が広告出稿を控えたこと等が影響していると考えられる。
そこに大きな影響を与えているのがTikTokとの競争の激化だ。TikTokは、ダウンロード総数が累計35億件に達した史上5番目のアプリであり、後述のように10代の若者を中心に利用が伸びている。
ペアレンタルコントロールソフトウェアを開発するQustodioが米国、英国、スペイン等の国で4~18歳を対象に調査したところ、10代はYouTubeよりもTikTokを見ているという。
2020年6月に初めてTikTokの平均利用時間がYouTubeを上回っており、TikTokの1日平均利用時間は82分に対し、YouTubeの1日平均利用時間は75分だった。それ以来、TikTokの平均利用時間はYouTubeを上回り続けており、2021年末のTikTokの1日平均利用時間が91分に増え、一方でYouTubeの1日平均利用時間は56分まで減っている。
デジタルマーケティングで知られるeMarketerによると、2022年のTikTokにおける22年の広告収入は約99億ドルだったが、2023年には約135億ドルに拡大すると予想されている。スタティスタによると、TikTokは前年比155%と広告収入がもっとも急拡大した企業となっている。
YouTubeからTikTokに広告出稿が流れた結果、このような事態となっていると考えられるのだ。