力士時代のドラム(左)
当時、三段目あたりの番付に留まっていた富栄だったが、2017年の年末には慕っていた日馬富士が貴ノ岩への暴行騒動の責任を取って引退。富栄はやりきれない思いを土俵にぶつけ、2018年は幕下に定着。十両が狙える上位まで番付を上げていった。
ただ、東幕下6枚目が最高位で十両昇進は果たせず、2021年3月場所で13年の現役生活を終えている。相撲担当記者が言う。
「引退直前4場所を全休していたが、腰と股関節のケガに悩まされてのもの。日常生活にも支障が出るぐらいで、手術も考えたそうだが、2~3年は休むことになるため引退を決めたといいます。その頃に応援してくれていたお姉さんが亡くなったことも大きかったとされます」
身体能力は高く、バク転を得意としていた。巡業中に山稽古(土俵のないところでの稽古)でバク転を披露した映像が相撲協会の公式ツイッターに載って話題になったこともある。
「引退後はYouTuberとしての活動や、身体能力を生かしてアクション俳優を目指す考えだった」(同前)といい、今年5月には大相撲の世界を描いたNetflixのドラマ『サンクチュアリ-聖域-』で俳優デビューを果たし、『VIVANT』でブレイクした。自らの思い描く道を進んでいけるのは「頑張るのは今しかできない」という日馬富士の言葉があるからだろうか。