何より、岸田首相は内閣改造に先立つ山口那津男・公明党代表との党首会談(9月4日)で、公明党が破棄していた東京での自公選挙協力を復活させることで合意し、選挙の最大の懸念を取り除いた。事前に総選挙に向けた候補者調整も、選挙協力体制も整えたうえで、内閣改造で選挙にマイナスとなる批判の芽を摘み、有権者受けを狙った布陣を敷いたのだ。
いつでも解散を打てる準備はできた。小泉進次郎・元環境相も札幌市での講演(9月1日)で、衆院解散・総選挙の時期について「岸田首相の立場で考えれば、チャンスがあれば(解散を)打ちたいだろう。年内いつあってもおかしくないよう準備は進める」と早期解散を予言している。前出・自民党ベテラン議員が語る。
「折からのジャニーズ事務所の社長交代やスポンサー降板など、いまや国民の関心はジャニーズ問題一色。政権を襲った木原スキャンダルや秋本真利・議員が逮捕された洋上風力発電汚職への批判は薄らいでいる。総理にとっては諦めかけていた解散に踏み切る願ってもない好機だろう」
10月22日に参院徳島・高知選挙区などの補欠選挙が行なわれる。早ければ首相は9月末か10月初めに召集する臨時国会の冒頭で衆院解散に踏み切り、参院補選と同日の総選挙と見られている。
※週刊ポスト2023年9月29日号