乃木と野崎らが逃げ込んだ「日本大使館」(モンゴル・ダルハン)
バス運転手にマッサージ
前出の女性スタッフによれば、最も過酷だったのは、およそ3週間にわたるゴビ砂漠でのロケだったという。
「撮影中に何度も砂嵐に見舞われ、昼なのに太陽の光が遮られて、周囲が薄暗くなるほどでした。目を開けることができず、ひたすらシャツやタオルで顔を隠し、砂嵐がやむのを待つしかない。カメラを守るためにすぐに布で覆うなど、皆すごく苦労していましたね。
移動中に前の車のナンバープレートが見えないほどの砂嵐に襲われたこともありました。逆に雨で道がぬかるんで大変だったこともある。運悪く、今年はとくに悪天候の日が多かったんです」
本作の監督を務めたのは、TBSのドラマ監督・福澤克雄氏(59)。『半沢直樹』『下町ロケット』などの大ヒットドラマで堺や阿部とタッグを組んできた名監督だ。
大自然が相手だけに、ロケは予定通りには進まなかったが、福澤氏は妥協しなかったという。番組関係者が語る。
「CGはほとんど使わず、ワンシーンのために何時間もかけてセットを用意したり、20回以上も撮り直しをするなど、作品に対する熱量はすごかったですね。初めて『福澤組』の撮影に参加する俳優にも、『ダメ、もう一回だ』と容赦なく指示を出していたそうです。砂漠で砂嵐の中を歩くシーンでは、監督から『砂が足りない』という指示を受けて、スタッフが手や足で砂を巻き上げて砂嵐を起こすこともあったそうです。堺さんは『耳にも鼻にも砂が……』と苦笑いしていました」
※週刊ポスト2023年9月29日号