記者B:それは表面的な見方すぎる。岸田総理にとって木原氏の交代は大きな痛手だが、だからこそ、今回の人事はそれをどうカバーするかという前提で組み立てられている。木原氏をすぐに幹事長代理兼政調会長特別補佐に据えたのがその証拠だ。
これから木原氏は幹事長代理として国対を仕切り、政調会長特別補佐として総合経済対策のとりまとめにもあたることになる。党と官邸のパイプ役として党運営、国対、政調に絶大な権限を握る。
岸田さんは木原氏を官邸に置いておけないなら、“禍転じて福となしてやれ”と、自民党中枢に送り込んだわけだよ。木原氏も「家族が心配だから」と官房副長官を固辞したのであれば、こんな忙しいポストを受けるはずがない。それを受けたということは、“転んでもただでは起きない”つもりだろう。朝日が報じた「続投を固辞」というのはスキャンダル批判をかわすための2人の巧妙な芝居だよ。
(しばしの沈黙後、記者Aが口を開いた)
記者A:だとすれば、木原氏は党務の実権をめぐって茂木幹事長とぶつかることになる。
記者B:最初からそうさせるつもりだろう。
※週刊ポスト2023年10月6・13日号