「自分が送ることができなかった青春があることを知るのが、私とっての娯楽」
『白線流し』『スラムダンク』が描く「青春」が大好きだった
──本を読むスピードが半端ではない山口さん。それでわかったんですが、以前お会いしたときに拙著『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社)をお渡ししたら、すぐに読んでくれましたよね。
山口:あの本は私にとって、とても良かったんです。私、映像との親和性が弱いみたいで、『ロングバケーション』(1996年)や『眠れる森』(1998年・ともにフジテレビ系列)が放送されていた当時、よくわからないけど見ていた感覚がありました。見ないと、翌日学校での話題についていけないから「とりあえず見ておくか」みたいな感覚で……。
ドラマもできれば、スクリプトにして見せて欲しかったくらいです。『ベスト・オブ・平成ドラマ!』は文字になっているからそれが良かった。「こういう本、早く作ってくれよ!」という気持ちでした。これを読んで女子会に参加したら盛り上がっていられそう(笑)。
──すみません……大変遅くなりまして……(笑)。そんな山口さん、『白線流し』(フジテレビ系列・1996年)がお好きだったと聞きました。
山口:『白線流し』はね、ハマりましたね。自分が送ることができなかった青春があることを知るのが、私とっての娯楽なんでしょうね。そういう意味では漫画『スラムダンク』(集英社)も(力を込めて)大! 好きです。今でもよく読んでいます。あとは甲子園もそうですね。
──あの最終試合で甲子園の土を持って帰るシーン、でしょうか?
山口:そうです! 二度とこないであろう青春の感覚に、胸が締め付けられるんです。できれば甲子園球児も坊主のままでいてほしいくらい。
(第2回に続く)
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【プロフィール】
山口真由(やまぐち・まゆ)/信州大学特任教授、法学博士。1983年生まれ、北海道札幌市出身。東京大学卒業後、財務省に入省。その後、弁護士事務所に勤務。ハーバード大学留学、米ニューヨーク州弁護士登録、東京大学大学院修了という経歴を持つ。現在は日米の「家族法」を専門とし多様な「家族」を研究するかたわら、テレビ等でコメンテーターとしても活躍している。そんなきらびやかな経歴の裏に隠された赤裸々すぎる挫折エピソードを綴った『挫折からのキャリア論』(日経BP)が好評発売中。
◆取材・文/小林久乃、撮影/小倉雄一郎