日本の情報機関の組織図

日本の情報機関の組織図

 その塚本第二部長のもとで北朝鮮情報を担当し、1973年に自衛隊を退官したのが元三等陸佐の坪山晃三氏(故人)だ。退官後、信用調査会社「ミリオン資料サービス」社長だった坪山氏と知り合い、2000年代に取材していたジャーナリストが言う。

「取材当時、坪山さんは自ら『別班』とは一言も言いませんでしたが、間違いなくその1人だったと思います。『赤旗』特捜班による『影の軍隊』を、坪山さんから『読みなさい』と渡されたのは、赤旗の徹底的な調査を認めていたからではないか」

 同書には、金大中拉致事件(1973年)の実行犯とされているKCIA(韓国の情報機関)工作員・金東雲(表向きは在日韓国大使館一等書記官)と坪山氏との関わりも詳しく書かれている。生前の坪山氏は「金大中の行動を割り出すよう金東雲に依頼されたが、拉致計画が分かった時点で調査を打ち切った」と前出のジャーナリストに語ったという。

 韓国大統領選の有力候補者だった金大中氏は、朴正煕・軍事独裁政権の命を受けたKCIAにより監視されていた。1973年8月8日、来日中の金大中氏は、白昼堂々、滞在していた都内のホテルでKCIAに拉致され、船で韓国に連れ戻された。

「『影の軍隊』には、KCIAが戸板に縛り付けた金大中を海に投げ込んで暗殺しようとした瞬間、日の丸を付けた飛行機が近づき、暗殺を阻止したと書かれています。拉致を知った米国が複数のルートを通じて『暗殺中止』を求め、米CIAが座間基地(神奈川県)の駐留米軍を通じて自衛隊の哨戒機に出動を依頼した、とも書いている。日の丸を付けた飛行機について、政府は『特定するに至っていない』と答弁しましたが、同書は『座間基地には別班の班長が通勤しており、拉致を事前に知り得たはず』と推測しています」(同前)

 事実であれば、「政敵抹殺をも厭わない韓国軍事政権の暴走を日米の連携で食い止めた」(同前)ということになる。

「坪山さんは事件後、当時の後藤田正晴・官房副長官に『警視庁と公安調査庁が網を張っているから、姿を隠してくれ』と言われたそうです。なぜ、民間企業の社長が官房副長官からそんな指示を受けるのか。『影の軍隊』には坪山さんの会社に自衛隊や外務省の人間が出入りしていると書かれており、坪山さんの会社が情報組織だったことは否めないでしょう」(同前)

 推測の域を出ないが、自衛隊退職後の坪山氏は表向きは会社経営者として、実態は別班として活動した可能性がある。

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