原発処理水の海洋放出に反対する韓国の市民活動家(EPA=時事)
「日本の汚染水放出で子孫の奇形発生を引き起こす」と非科学的な主張をするなど強硬な処理水放出反対派として知られた金南局(キム・ナムグク)議員(元共に民主党・現無所属)は、今年10月1日に日本を旅行しているのを目撃され、韓国メディアに報じられている(『朝鮮日報』日本語版10月3日付)。
記事は、〈バックパックを背負った金議員は、地下鉄銀座駅の交差点の横断歩道で信号待ちをしながらスマートフォンを取り出し、高級デパート「銀座三越」や、銀座を象徴する和光ビルの時計塔を撮影していた〉との目撃談を伝えた。金議員は自身のスタッフにも今回の日本行きを伝えていなかったという。
原発事故後の圧力は再生エネ利権のため?
しかし、福島原発事故後の韓国政府は、福島県を含む8県の日本産水産物を輸入禁止にしたり、2020東京五輪を“放射能五輪”と揶揄したりと、官民挙げて放射能問題で日本へ圧力をかけていたはずだ。なぜ、現在は風向きが180度変わったかのように見えるのか。
「そもそも文在寅大統領(当時)が脱原発を掲げて原発を止めたのは、電力を不足させ、国からの補助金を太陽光発電など再生可能エネルギーへ流し込むことが最終目的だったと考えられます。事実、太陽光や風力が建設されているのは、当時の与党(共に民主党)が握っている地域が非常に多い。つまり、市民団体などは別にして、文政権は脱原発のために原発事故をダシに使っただけ。日本を攻撃する意図はほとんどなく、あくまで再生エネ利権の獲得が目的だったと言えなくもない」
日本ではほとんど報じられないが、実は韓国では、昨年から文在寅政権時代の再生エネ補助金の不正受給に対する摘発が相次いでいる。
たとえば、韓国紙『自由日報』(2023年6月14日付)の記事「文政権の口先だけの脱原発 実体は『太陽光利権事業』」には、〈文政権は再生可能エネルギー事業に執着し、太陽光発電に支給された補助金が許認可権を握った公務員と自治体、そして彼らと結託した民間業者にばらまかれたのだ〉とあり、不正支給された金額は〈4000億ウォン(約450億円)をはるかに超えると予想される〉としている。今年6月14日に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、文政権時代の太陽光事業意思決定ラインについて徹底的に調査するよう監査院に指示を出している。