国内

「朝起きられない」起立性調節障害に新治療法、アリピプラゾールが中高生70万人を救う

(写真/PIXTA)

「朝起きられない」のは病であることも(写真/PIXTA)

 これまで、朝起きられない子供たちに向けられてきた「怠けている」「気合が足りない」といった精神論。しかし、その症状には理由があった。最新の研究が示す治療法を、自身も睡眠に悩みを抱えるジャーナリスト・横田増生氏が徹底取材した。

 * * *
 激しい頭痛に悩まされていたKさん(14才)が、地元・茨城県の小児科で「起立性調節障害」と診断されたのは、小学5年生のときだった。

「そんな病名があることを初めて知りました。

 小学3年生の頃から頻繁に頭痛を感じ、朝起きるのが苦手だったのですが、これは病気だったんだと驚きましたね」(Kさん)

 頭痛は夕方になるとひどくなり、食事をとることも、入浴することもできなかった。病院で処方された頭痛薬を服用して、ごまかしながら乗り切ってきたという。

 しかし、中学校に進学した昨年の秋、新型コロナウイルスに感染すると頭痛が悪化。めまいも起こるようになり、ひどく気分が落ち込んだ。

 病院からは血圧を上げる薬が追加された。しかし、薬をのんでも血圧計の数値が上がることはなかった。

 今年4月に中学2年生になると、学校に行けない日が増え始めた。6月はほとんど学校に通えなかった。ベッドに入って寝付くまでに時間がかかるようになったからだ。

 22時にはベッドに入るが、24時前後まで眠れない日が続く。眠りにつくのが遅くなると、翌朝の頭痛がひどくなり、目が覚めるのは通学時間をとうに過ぎた9時頃。そこから起き上がるまで、さらに3時間近くもかかる。Kさんは学校に通いたい一心で、母親と病院を何箇所もめぐった。

 転機となったのは、今年の夏休み、県立病院で睡眠専門医の診断を受けたこと。そこで、新たに「睡眠相後退症候群」と診断され、向精神薬〈アリピプラゾール〉1mgと、眠気を誘う〈メラトニン〉2mgを処方された。

 効果は1か月で表れ始めた。

 ベッドに入ると、30分ほどで眠たくなる。22時半に眠れた夜は、翌朝の頭痛もほとんどなく、6時半には起き上がり、登校もできた。

「新しい薬をのむ前の体力と気力を100とすると、いまは130ぐらいまで上がってきました。この調子だと、休まず学校に通えそうです」(前出・Kさん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

本格的に中国進出をめざすならば…(時事通信フォト)
《年内結婚報道》橋本環奈と中川大志の「結婚生活」に立ちはだかる“1万kmの距離” 2人の異なる“海外進出の希望先”
週刊ポスト
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
錦織圭とユニクロの関係はどうなるか(写真/共同通信社)
「ご本人からの誠意ある謝罪があった」“ユニクロ不倫”錦織圭、ファーストリテイリング広報担当が明かしたスポンサー契約継続の理由
週刊ポスト
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
止まらない「オンカジドミノ退社」フジテレビ社内で話題を呼ぶ
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン