「この飲食店一帯は道が入りくんでいて狭く、消防車が入り込むことができず、駅前の大通りと天満市場の両サイドからホースを引っ張ってこないと鎮火できないんです。5年ほど前には、串焼き店のダクトの中に溜まっていた油が発火し、その店だけでなく隣接していた焼き肉店とラーメン店まで全焼してしまう火事が起きてしまった。
小規模も含めて火事が相次いでおり、商店街としても火災予防の注意喚起はしていますし、路地にはみ出して机や椅子を置いて営業している飲食店には厳重注意をしているようですが、一体どれほどの効果があるのか」
そして、3年前に火事が起きた同じ場所で、今度は爆発事故が起きてしまった。店主が続ける。
「天満は呪われているんじゃないか、あの土地は祟られているんじゃないか、と親しい飲食店の人と話したばかりです。今回の件はあくまで事故でしょうが……」
幸い店内の損傷は少なかったのか、「天満鮨」は爆発事故の翌日には営業を再開。11時半のオープンから行列ができ、一見すると事故などなかったかのような様子だった。しかし、近隣の飲食店や住民にとって、火災や事故が相次ぐ状況は決して対岸の火事では済まされないだろう。
◆取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)