OSKの劇団員の紫咲心那(写真/OSK日本歌劇団提供)

OSKの劇団員の紫咲心那(写真/OSK日本歌劇団提供)

本番で起きたハプニング

 OSKの劇団員を芸名ではなく本名で呼ぶなど、ずっと一緒の劇団で切磋琢磨してきたような空気がUSKの出演者たちの間には生まれたという。

 そうして打ち解けた撮影現場で女優たちと劇団員たちが手を取り合い、ピョンピョンと連続的に跳躍する「はずみ」の呼吸を合わせ、足の上げ下げや踊りを繰り返し練習したうえで、ラインダンスの撮影に臨んだ。

 本番ではこんなハプニングもあった。京我が振り返る。

「ラインダンスの撮影が長時間に及び、みんなしんどかったなか、最後にこの一曲で終わるというところで私が“足上げ”を間違えてしまったんです。私がすぐに謝ると、女優さんたちも交ざってきて笑いながら『なんだよ~』『アイス奢りね』などとイジられました(笑)。空気がギスギスするようなことはなく、女優さんたちも私たちOSKメンバーも『舞台を成功させたい』との思いで一丸となり、“ワンチーム”になっていました」

 女優たちの努力の結晶となったラインダンスは「美しすぎる」「涙が止まらない」などSNSで大きな反響を呼んだ。

「撮影現場で観ていてすごく感動しました」

 と語るのは『ブギウギ』の制作統括を務める福岡利武氏だ。

「ラインダンスは見た目以上に難度が高く、1人がミスをしたら台無しになってしまう。その分、完成度が高いと素晴らしい一体感が湧き出て観る者を魅了する。

 最初から最後まで横並びで踊るシンプルなラインダンスもありますが、今作ではフォーメーションを変えたり、ほかのダンスを取り入れたりするなど非常に複雑なものでした。台本で2行くらいのシーンを作るのに、ほかのダンスと同時進行で5月の本番までみなさんは4か月近く練習しました。全員が集まってからの練習期間は1か月半くらいしかありませんでしたが、演者のレベルが非常に高かったので、複雑なラインダンスに挑戦することができたんです」

 制作者として「もっと見せたい」との思いがあったこと、また視聴者から「ショーとしてもっと見たい」との声があることも予想されたため、SNSなどではフルバージョンが配信されている。

 ラインダンスの影響は絶大で、現在、全国各地で公演の真っただ中のOSKの人気も沸騰。観客数の歴代最高記録を連日塗り替えているという。

第3回に続く第1回から読む

※週刊ポスト2023年11月17・24日号

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