山口百恵さんにも厳しかった

山口百恵さんにも厳しかった

 しかし、のちに淡谷さんの八代に対する評価は変わっていったという。美川が続ける。

「あるとき、淡谷先生と一緒にエレベーターに乗っていたら、ドアが開いたときに偶然、亜紀ちゃんが立っていたんですよ。すると、先生は“フンッ”て顔をして後ろを向いてしまった。亜紀ちゃんはすかさず、『先生、おはようございます』って挨拶したのですが、先生は黙ったまま。亜紀ちゃんは先生の右側に回って、また『おはようございます』って。そうしたら先生はプイッと左を向いちゃったので、さらに亜紀ちゃんは左に回って『おはようございます』って言ったんですよ。それで先生はやっと『おはよう』って返事をした。先生はあとから『あの子は根性あるわよ』って亜紀ちゃんを褒めていました」

 前出の吉川さんは、淡谷さんの人となりをこう語る。

「淡谷さんは口ではキツいことを言いますが、とても思いやりがあるかた。スタッフへの気配りは欠かさないし、直筆のお礼状をくださったことも。歌手のかたへの厳しい指摘も愛情ゆえのもの。『頑張ればできるはず』というエールなのです」

 前述のひばりさんに関する「毒舌」についても、美川に言わせればある事情があったのだとか。

「淡谷先生はもともとひばりさんをかわいがって応援していたんです。デビュー間もない頃、彼女の方から『先生、一緒にお風呂に入りましょう』と誘ってきたので一緒に入浴し、ひばりさんの背中を流してあげたりしたことがあったとか。でも、のちに番組で共演した際に『淡谷さんとの思い出は?』と尋ねられたひばりさんは『何もない』と答えたそうなんです。先生は義理や恩を大切にする人だから、それでカチンときちゃったみたい」(美川)

 数々の毒舌伝説を残した昭和芸能界の大スターだからこそ、演じる側もプレッシャーとは無縁ではいられない。『ブギウギ』で、淡谷さんをモデルにしたりつ子を演じる菊地は、クランクインにあたり、ある場所を訪ねたという。

「菊地さんは淡谷さんをモデルにした役だと聞いて、生半可な気持ちではできないと気を引き締めたとか。気合を入れるために、淡谷さんのお墓に足を運び、『一生懸命努力するので、どうぞ怒らないでください』と挨拶をしたそうです」(テレビ局関係者)

 ドラマでは淡谷さんを彷彿とさせる毒舌交じりの「りつ子節」も炸裂する。淡谷さんの話し方や振る舞いを研究したという菊地がどう演じるのか楽しみだ。

※女性セブン2023年11月23日号

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