一方で、「セクハラは当人同士がどう受け取るかの問題で、師弟の間では厳しい“指導”は普通のこと。騒ぎ立てること自体が歌舞伎界をつぶすことになるので、取材は受けない」と、事の本質を見ることすら拒絶する姿勢を示した人物もいた。
「旧ジャニーズ事務所の問題を巡っては、メディアの責任にもスポットライトが当てられました。特に各テレビ局は、現役はもちろんOB・OG社員も含めたヒアリングを行い、性加害への認識や忖度の実態を検証する番組を放送することを避けられなかった。そういった危機感を、歌舞伎界や御用メディアは持ち合わせていないし、変わろうとしないということなんでしょう。あまりに闇が深いと言わざるを得ません」(前出・別の演劇関係者)
松竹は、『女性セブン』5月の「セクハラ・パワハラ疑惑」の報道時の取材に対し、《ご指摘のような事案が舞台関係者に対して行われているとの相談・報告が寄せられたことはなく、認識もしておりません》《公演製作・主催企業としての社会的責任の見地から、弊社の興行等に関連した看過し難い事象の発生が懸念されました場合には事実確認を行い、適正に対応して参る所存です》と回答していた。
改めて松竹に、猿之助の「セクハラ・パワハラ疑惑」を把握しているか、事実確認を行ったかどうかを問い合わせたが、「司法の判断を仰ぐ過程のため、現時点での回答は差し控える」と回答した。
また、疑惑の解決がないまま猿之助が復帰する可能性についても、「今後の展望等について弊社としての見解を申し上げるのは最終的な司法の判断がなされるまでは差し控える」とした。
猿之助の才能と実力は誰もが認めるものだ。同様に故ジャニー喜多川氏の演出や宝塚の舞台も観客を魅了してきた。しかし、そうした才能があるからといって“免責”されるわけではない。被害者がいる以上、そのことを真剣に受け止める組織であってこそ、エンターテインメントの輝きを放つのではないだろうか。
※女性セブン2023年11月30日・12月7日号