ライフ

バス運転手のサングラスに難癖をつけるような高齢者クレーマーとどう向き合うべきか

日差し避けのサングラスを着用する。高齢者が現役だった時代に比べ夏の日差しは厳しさを増している(イメージ)

日差し避けのサングラスを着用する。高齢者が現役だった時代に比べ夏の日差しは厳しさを増している(イメージ)

 ジェネレーションギャップと呼ぶには、あまりに大きなトラブルがたびたび起きている。いたるところで高齢者によって騒動が引き起こされているが、静観して過ぎるのを待つという対処は、高齢化率(※総人口に占める65歳以上人口の割合)が29.0%に達し、今後も増加する日本という社会の対処法として限界を迎えている。高齢者が正しいと信じて起こすトラブルに巻き込まれた人たちの困惑を、ライターの宮添優氏がレポートする。

 * * *
 電車内で泣く赤ちゃんの声に我慢できず、高齢男性が母親に暴言を浴びせる様子がネット上で話題になった。SNSには「まさに老害だ」との声が溢れ、一部マスコミで報じられていることが事実であれば、高齢者の独善的な怒り、新たな価値観を理解しようとしない態度だという他ない。

日差し対策のサングラス着用を断念

 赤ちゃん連れの母親に向かって理不尽な怒りをぶつけた例ほどではなくとも、高齢者による独りよがりな怒りに遭遇してしまい、辟易しているという人は相当数、いるようである。関東の私鉄系バス会社に勤務する斉藤譲さん(仮名・40代)が、この夏に高齢乗客から受けた理不尽な仕打ちについて訴える。

「運転に支障が出ることもあり、夏の日差しが強いときに社内では乗務員のサングラス着用が認められているんです。視力は問題ないのですが、強い日差しが視界を邪魔して危ないと感じたこともあり、この夏からサングラスをかけ始めました。運転しやすく、晴れた日中は手放せなくなりました」(斉藤さん)

 サングラス特有の「威圧感」が客を怖がらせてはいけないと、車内には、乗務員のサングラス着用を知らせるポスターを掲示する配慮もあったという。しかし、斉藤さんはこの夏、男女を問わず何人もの高齢客から、クレームをぶつけられたという。

「まるでヤクザとか、私を脅しているのかとか、さらには客に失礼だから外せと、手が伸びてきたこともありました。実際、サングラスについてけしからんと言うのは高齢者ばかりでした。ポスターを指差し、ご理解をお願いしますと言うと、最近の日本はおかしい、と反発して文句を言うのを止めない。腹立たしいですが、定時運行を守るためにも、すいませんと頭を下げ、サングラスを外すしかなかったです」(斉藤さん)

 結局、斉藤さんはサングラス着用を断念せざるを得なくなった。独りよがりな人が総じてそうであるように、理由を説明しても怒りを引っ込めず、ますます怒り出して時間をとられることが多い。この場合も同じで、高齢者の単なる「お気持ち」を押しつける行為のせいで、安全運行に支障が出かねない事態に陥ったことに他ならない。公共交通機関関係者が高齢客からこうした仕打ちを受けるのはもはや「日常的だ」というのは、都内在住の鉄道乗務員・河合晃さん(仮名・20代)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
グラドルデビューした渡部ほのさん
【瀬戸環奈と同じサイズ】新人グラドル・渡部ほのが明かすデビュー秘話「承認欲求が強すぎて皆に見られたい」「超英才教育を受けるも音大3か月で中退」
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
無名の新人候補ながら、東京選挙区で当選を果たしたさや氏(写真撮影:小川裕夫)
参政党、躍進の原動力は「日本人ファースト」だけじゃなかった 都知事選の石丸旋風と”無名”から当選果たしたさや氏の共通点
NEWSポストセブン
セ界を独走する藤川阪神だが…
《セの貯金は独占状態》藤川阪神「セ独走」でも“日本一”はまだ楽観できない 江本孟紀氏、藤田平氏、広澤克実氏の大物OBが指摘する不安要素
週刊ポスト
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン