芸能

朝ドラ『ブギウギ』 ヒロイン趣里と7歳差の水川あさみが「お母ちゃん」役に起用された理由

水川あさみが「お母ちゃん」のツヤを演じている(写真/NHK提供)

「お母ちゃん」のツヤを演じる水川あさみ(写真/NHK提供)

 東京編に突入した朝ドラ『ブギウギ』からますます目が離せない。スターへの階段を上り始めたヒロイン・スズ子(趣里)を大阪で見守る「お母ちゃん」の存在感たるや。水川あさみ(40)の微笑みが懐かしくも切ない。

 いつも銭湯の番台に座っていた大阪のお母ちゃん(ツヤ)は、義理人情に厚く、子どもたちのことを第一に考えている。『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』の著者で朝ドラウォッチャーの田幸和歌子氏が語る。

「しっかり者のお母ちゃんは序盤から印象的なキャラクターでした。演じる水川さんは大阪出身なので、ネイティブの大阪弁がとてもナチュラル。SNSなどを見ても“子どもの頃のオカンはこんな感じだった”と懐かしく感じている中高年の視聴者も多いようです」

 第5話では、試験を受けられなかったスズ子とともに梅丸少女歌劇団(USK)に乗り込んだツヤが、「娘に試験を受けさせてください!」と頼み込むシーンがあった。

「菓子折りを持って強引に頼み込むツヤの姿が印象的でした。スズ子に似て、元気でよく喋って調子がいい。このお母ちゃんに育てられたからスズ子も元気に育ったんだなと納得させられました」(田幸氏)

 しかし、ツヤはただ明るいだけのお母ちゃんではない。第5週ではツヤがスズ子の本当の母親ではないことが明かされた。

「実の母親はツヤの故郷・香川に住む友人・キヌ(中越典子)で、事情があってツヤが代わりに大阪で育てたという驚きの展開でした」(同前)

 キヌを演じた中越は朝ドラ『こころ』(2003年)でヒロインを務めたが、その際に母親役を演じたのが趣里の母親の伊藤蘭だった。20年後に伊藤の娘と中越が親子を演じた巡り合わせには「何という粋な計らいだ」と朝ドラファンが沸き立った。

 そして水川演じるお母ちゃんは、このエピソードを機にキャラクターの深みが増していく。

「キヌに『1年に1回は香川に連れて帰る』と約束していたのに、徐々にスズ子を自分の娘にしたいとの思いが強まり故郷に帰らないようになった。序盤で見せた立派なお母ちゃんの顔とは違い、スズ子への深い愛情ゆえの業の深さやエゴが垣間見えて新鮮でした」(同前)

 スズ子が「東京に行きたい」と告げた時には、当然賛成すると思われたツヤは強く反対した。

「娘を手元に置いておきたいという“親心”からでしょうね。母親である前にひとりの人間なんだと感じさせるような弱さやズルさ、人間臭さが描かれていました。

 最終的には『思いっきり歌って踊ってきなはれ!』と快く東京に送り出しましたが、ツヤの“陽”だけではなく、“陰”の部分を水川さんは見事に表現していました。従来の朝ドラで描かれた“どんな時もヒロインを見守る良母”とは一味違い、負の部分も見せるお母ちゃん像は斬新で、だからこそリアルに感じます」(同前)

関連キーワード

関連記事

トピックス

米倉涼子
《米倉涼子の自宅マンション前に異変》大手メディアが集結で一体何が…薬物疑惑報道後に更新が止まったファンクラブは継続中
火事が発生したのは今月15日(右:同社HPより)
《いつかこの子がドレスを着るまで生きたい》サウナ閉じ込め、夫婦は覆いかぶさるように…専門家が指摘する月額39万円サウナの“論外な構造”と推奨する自衛手段【赤坂サウナ2人死亡】
NEWSポストセブン
自らを「頂きおじさん」と名乗っていた小野洋平容疑者(右:時事通信フォト。今回の事件とは無関係)
《“一夫多妻男”が10代女性を『イヌ』と呼び監禁》「バールでドアをこじ開けたような跡が…」”頂きおじさん”小野洋平容疑者の「恐怖の部屋」、約100人を盗撮し5000万円売り上げ
NEWSポストセブン
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン
来季前半戦のフル参戦を確実にした川崎春花(Getty Images)
《明暗クッキリの女子ゴルフ》川崎春花ファイナルQT突破で“脱・トリプルボギー不倫”、小林夢果は成績残せず“不倫相手の妻”の主戦場へ
週刊ポスト
超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”だった高橋麻美香容疑者
《超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”の素顔》「白血病が再発して余命1か月」と60代男性から総額約4000万円を詐取か……高橋麻美香容疑者の悪質な“口説き文句”「客の子どもを中絶したい」
NEWSポストセブン
迷惑行為を行った、自称新入生のアビゲイル・ルッツ(Instagramより)
《注目を浴びて有料サイトに誘導》米ルイジアナ州立大スタジアムで起きた“半裸女”騒動…観客の「暴走」一部始終がSNSで拡散され物議に
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《異なる形の突起物を備えた光沢感あるグローブも…》10代少女らが被害に遭った「エプスタイン事件」公開された新たな写真が示唆する“加害の痕跡”
NEWSポストセブン
「みどりの『わ』交流のつどい」に出席された秋篠宮家の次女、佳子さま(2025年12月15日、撮影/JMPA)
佳子さま、“ヘビロテ”する6万9300円ワンピース 白いジャケットからリボンをのぞかせたフェミニンな装い
NEWSポストセブン
オフシーズンを迎えた大谷翔平(時事通信フォト)
《大谷翔平がチョビ髭で肩を組んで…》撮影されたのはキッズ向け施設もある「ショッピングモール」 因縁の“リゾート別荘”があるハワイ島になぜ滞在
NEWSポストセブン
愛子さまへのオンライン署名が大きな盛り上がりを見せている背景とは(時事通信フォト)
「愛子さまを天皇に!」4万9000人がオンライン署名、急激に支持が高まっている背景 ラオス訪問での振る舞いに人気沸騰、秋篠宮家への“複雑な国民感情”も関係か
週刊ポスト
群馬県前橋市の小川晶前市長(共同通信社)
「再選させるぞ!させるぞ!させるぞ!させるぞ!」前橋市“ラブホ通い詰め”小川前市長が支援者集会に参加して涙の演説、参加者は「市長はバッチバチにやる気満々でしたよ」
NEWSポストセブン