芸能

高田文夫氏 立川談志13回忌で締めのあいさつ「もう憧れるのはやめましょう」

立川談志13回忌について(イラスト/佐野文二郎)

立川談志13回忌について(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、立川談志13回忌について綴る。

 * * *
「大谷の犬」と書くところを、慌てたので「犬谷の太」(いぬたにのふとし?)と書いてしまった。おどろく事が多すぎて酒もすすむ。作家と噺家(DJも)、昔から二刀流の私。落語の方の師である「立川談志の13回忌」がよみうりホールでの会とは別にノン君(談志夫人 我々はみんなこう呼ぶ)の御招待で上野の高名な中華料理店で開かれた。ノン君と2人の子供を中心に談志の直弟子達、毒蝮三太夫、野末陳平、私らにお呼びがかかった。他に親せきの方達もいらした。

 結局蝮がギャーギャー騒いでいるうちにおひらき。ノン君のあいさつがバカうけ。「今日は本当言うと皆さんもあまり来たくなかったでしょう。洋服着がえたり電車乗ったり面倒くさいものね。私も本当に来たくなかった。でもこうしてみんなの顔見るとうれしいわネ。談志もそう思ってるわよ」。拍手カッサイ。

 長男・長女が「高田センセー、最後にいつも通りビシッと締めちゃって下さい」。昔からいつも寄り合いがあると私と蝮さんがとびっきりバカなことを言って終わるのだが……と見ると蝮センパイ(日芸の先輩なのだ。お恥ずかしい)毒にでも当たったか人前で喋れる状態ではない。私が談志直伝の毒を少量盛り込んだあいさつをしてラスト。「今日で12年。13回忌なんですから今日をきっかけに、もう憧れるのはやめましょう」と大谷ジョーク。

 すかさず機を見るに敏な談春がとんできて私に、「最初から憧れてなかった4人で写真撮りましょう」と大麻グミ並みのブラック。師匠の写真をバックにして志の輔、談春、志らく、私でピース写真。きっと談志師匠、はらわた煮えくり返っているだろう。でも何だかみんなみんな嬉しそうだった。

 その晩、小言をくらう夢をみた。

 さぁ12月は「森田芳光監督の13回忌」である。「談志お別れの会」をホテルで開いている時、スポーツ紙の記者達が大さわぎで私を探して「モリタ監督が亡くなりました」「えーーッ」その場にへたり込んだっけ。師を亡くし、すぐに私の一番弟子に去られるとは。森田は生前いつも洒落っぽく周りに「オレは高田センパイの一番弟子だから」と言っていた。年齢は私が1年上だが、「日芸」で「落研」で同じ「渋谷生まれ」でというシティボーイの子弟ボーイ。

 衝撃のデビュー作が若き日の森田と私を描いた傑作『の・ようなもの』。この映画が公開された年、私は『ビートたけしのオールナイトニッポン』をスタート、たけしと共に世に出た81年である。森田の映画のお陰で落語界に若い人が入ってきた。そして『タイガー&ドラゴン』で2005年、落語ブームが起きた。

※週刊ポスト2023年12月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界的な人気を誇るシンガー・d4vd(20)(Instagramより)
「行方不明の10代少女のバラバラ遺体が袋詰めに」世界的人気歌手・d4vdが所有する高級車のトランクに遺棄《お揃いのタトゥー「 Shhh…」で発覚した2人の共通点》
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン
神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
ラーメン店の厨房は暑い(イメージ)
《「汗を落とすな」「清潔感がない」》猛暑で増えた「汗クレーム」 熱湯で麺を茹で上げるラーメン店やエアコンが使えないエアコン取り付け工事にも
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン