【月】1・3週 松井治伸アンカー。1985年入局。アンカー5年目。趣味はクラシック音楽
深夜は、思いが届く不思議な時間
市原隼人(36才)、谷原章介(51才)、山本耕史(47才)など錚々たる俳優陣がこれまで登場している1時台の絵本朗読コーナーも必聴だ。
市原が、さつまいもを食べた森の動物たちが、おならの音を競う場面を情感豊かに、とても楽しそうに語るのを聴いて、これまでのクールなイメージが覆ってしまったというリスナーも多い。まさに、「深夜便リスナーだけが出合えるごほうび」だ。
「一度出演されると、『また読みたい』と言ってくださるかたが多いんです」(村上さん)
改めて、番組の存在意義を知りたくなった。
「変わらないでいること、でしょうか。深夜にラジオをつければいつもの放送が聴ける。安心を届けることが番組の存在意義だと思います。一方で、同じものを届けているように見えて、中身は毎日変える工夫もしています(深夜便ルール参照)。そのギャップが、長く親しんでいただける理由だと思います」(阪本さん)
村上さんは、リスナーからのお便りを例に、番組の特徴を以下のように説明する。
「嫌なことがあって落ち込んだり、がむしゃらに働いたりと、慌ただしく過ごした一日をリセットし、心を整えるために聴いているというかたがいました。ゆったりとした放送の中にいろいろな話題があって、聴いているうちに心が落ち着いていく。サウナみたいな番組?でしょうか(笑い)。
それに深夜って、魔法がかかったような不思議な時間で、アンカーやゲストの思いが伝わりやすい気がします」
若い頃は退屈に思えても、年齢を重ねて改めて接すると、共感や笑い、学びがあることは多い。静かなる『ラジオ深夜便』、そこにワクワクを感じたとき、「私も違いがわかる大人になったかな」と、少し誇らしい気分になった。
(了。前編を読む)
取材・文/佐藤有栄 写真提供/NHK
※女性セブン2023年12月14日号