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ビートたけしが語る伊集院静さんとの思い出「年下だけど、尊敬できる男だった」

日本社会の問題を指摘したビートたけし氏(撮影/松田忠雄)

日本社会の問題を指摘したビートたけし氏(撮影/松田忠雄)

 国語辞典などを手がける出版社・三省堂が発表する、「今年の新語 2022」で大賞に選ばれた「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉。近年、ネットやスマホの普及とともに情報が流れる速度は急速に上がっている。だが、一度立ち止まって時間の使い方や生き方に余裕を持つべきではないか──そう主張するのが、映画監督・タレントのビートたけし氏(76)だ。

 新刊『ニッポンが壊れる』を上梓したたけし氏は、『週刊ポスト』の取材のなかで「ファスト映画」への見解や、11月24日に亡くなった友人・伊集院静さんの生き様について明かした。【前後編の後編。前編から読む】

 * * *

 オイラはこの前、久しぶりに『首』という時代劇の映画を作った。映画の話で言えば、映画を「早送り」で観る若者が増えているんだって?

 それどころか起承転結の要所だけをつまんで繋げて、10分や15分にまとめた「ファスト映画」というのを配信する違法業者が増えているらしい。「タイパ(タイムパフォーマンス)」が何より大事で、1本の映画をじっくり観るより「早送りしてさっさと結末を知りたい」というニーズが増えたんだろう。

 こういう若者を「教養がない」「我慢ができない」と問題視してるみたいだけど、それは作品が面白くないことの言い訳だよ。そもそも映画は、ある人物の人生やらを何十倍も早回しして、「たった2時間」にまとめたものだからね。それすら「観ていられない」というのは、単純に面白くないってことでしかない。

 ただ、オイラからすると「時間をムダに使う贅沢」を知らない若者を可哀想だと思ってしまう。良い作品を観て、思考を巡らせながら時間をゆっくり浪費することは最高にリッチなことだからね。

 今は情報が溢れすぎて、「早くて効率的」であることが美徳とされるようになった。でも、“贅沢”というのは効率とは対極のところにある。

 映画で言えば「見どころ」は、大ドンデン返しや衝撃的なラストじゃない。何気ないシーンの情景やセリフのないシーンの「間」が魅力なんだよ。それはファスト映画じゃきっと飛ばされている部分だろう。そこを楽しめなければ、作品のあらすじをなぞったところでピンと来るはずがない。

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