「ジェノサイド条約によってジェノサイド(虐殺)の定義は定められていますが、民族浄化という言葉に法的な定義は存在せず、“ジェノサイドとは断定できないが、かなり深刻な状況”を指すような使われ方をされています。
イスラエル軍の侵攻拡大により、ガザに暮らすパレスチナ人たちはどんどん南部に追いやられています。ネタニヤフ首相らが明言しているわけではありませんが、“パレスチナ人をガザから追い出し、あわよくば隣接するエジプトにまで打ち払いたい”という意図があるのではないかと疑念を持たざるをえません。イスラエルにとって邪魔なパレスチナ人をもといた地域から追い払おうとしている点で、民族浄化という言葉を使って批判されています。
ハマスの奇襲攻撃が凄惨なものだった以上、イスラエルが武力行使をすること自体への批判はそれほどないはず。しかし、武力行使のやり方を規制するための法である国際人道法に則って考えると、イスラエルのやり方はあまりに乱暴です。ハマスがいるかもしれないと見なした建物を片っ端から壊したりして、病院まで攻撃対象にしています。医療施設への攻撃は、戦争犯罪とされる可能性があります」
長引く戦闘。今後どのような流れが考えられるか。
「イスラエルはハマス壊滅を目指していますが、2か月以上経っても大した成果が出ていません。そしてハマス側は消耗戦に持ち込むことで、イスラエル軍を撤退させ、交渉のテーブルにつけたい。停戦を求める国際世論も高まっていますし、ハマス壊滅が難しい以上、“停戦し、政治的な解決を探る”というのは現実的な選択です。
ただ、イスラエルにとって、ハマスの狙い通りの選択肢をとるのは苦々しいことでしょう。また、たとえ停戦したとしても再び奇襲攻撃がないか不安が残ります」
イスラエルが停戦を望まないのであれば、もうひとつ、起こりうる流れがあるという。