マンモグラフィー検査(写真/PIXTA)
「自治体の公的検診の対象になる40代以降はマンモグラフィー検査を受けるべきですが、30代以下の人は近親者に乳がんがいなければ、乳がんになる可能性は低い。20代後半で乳がんになる人は1万人に1人、30代後半で1500人に1人です。
特に若い人は乳腺が発達しているので『偽陽性』が出やすく、がんでもないのに精密検査を受けることになる。費用がかかるうえ、精神的にも肉体的にも負担が大きくなるので、おすすめしません」(村上さん)
室井さんもこう言い添える。
「海外の臨床研究を体系的にまとめた米国予防医学専門委員会の情報によると、2年に1回、40〜74才の女性に対するマンモグラフィーのみ効果があるとされています。翻っていえば、40才未満、75才以上の女性は偽陽性や偽陰性のケースが多いので、受けるメリットは低いといえる」
もちろん、自覚症状がある人や体調に不安を持つ人は、年齢を問わず受けた方がいい。マンモグラフィーに限らず、すべての検査において大事なのは、慣習的に受けるのではなく、自分に合う検診を能動的に選ぶことだ。医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんは、「これからのがん検診は『個別化』の時代」だとアドバイスする。
「がんは年齢や性別、家族歴や食生活などによってもリスクが変わるので、自治体のがん検診に自分の体を“丸投げ”しないでほしい。ある程度の年齢になれば、持病でかかりつけ医がいる人が多いと思いますが、主治医に相談すれば、“あなたはこういう傾向があるから、この検査をしておいた方がいい”と自分に合った検診を選ぶことができる。持病があるなど何かしらの症状があれば、保険適用で検査を受けることもできます」(上さん)
※女性セブン2024年1月4・11日号
過信してはいけない健診・検査
過信してはいけない健診・検査
血圧
「医師の腕次第」な検診・検査