健康被害がおよぶリスク(写真/PIXTA)

健康被害がおよぶリスクも?(写真/PIXTA)

年齢によって受けるメリットが変化

 自治体などで広く行われているがん検診にも“ウソ”が潜む。早期発見に役立つどころか、健康被害がおよぶリスクさえあると専門家が声を揃えたのは肺がんの胸部X線検査だ。米ニューヨーク在住で米国老年医学・内科専門医の山田悠史さんが解説する。

「そもそも胸部X線検査は、1972年に肺結核の早期発見の目的で始められたもの。そのため肺がんの早期発見や死亡リスクの減少につながるエビデンスはなく、実際にアメリカでは肺がん検診として胸部X線検査は推奨できないとして、実施されていません。

 たとえX線で肺に異常な影が見つかってもその詳細はよくわからない。しかし、無視することもできないためその後さらにCT検査を受けることになり、さらなる放射線の被ばくを伴います。針を刺して生検することもあり、誤って肺に穴が開いて肺気胸になる可能性もゼロではない。“たかがX線1枚”と思うかもしれませんが、一見無害のような検査でも、その先に起こりうるデメリットを考慮すべきです」

 ナビタスクリニック川崎院長で内科医の谷本哲也さんは、胃部X線検査(バリウム検査)のリスクを懸念する。

「胃の形を変化させるがんでなければ発見できないため、表面の胃がんの早期発見ができないこともある。また、バリウムが長時間にわたって腸に滞留した結果、腸閉塞や腸穿孔を起こす危険性があります。細胞の採取もできる胃の内視鏡検査を受けた方がいいです」

 体への負担や弊害こそないものの、体に潜むがんを見落としかねない検査もある。

「便潜血検査は検査費用が数百円と安く、便を調べるだけで痛みもないので受けないよりは受けた方がいい検査です。エビデンスもあり、世界中で行われています。ただし、早期のがんは見つかりにくいという欠点がある。40才を過ぎたらまず一度は大腸内視鏡検査を受けた方が安心です」(谷本さん)

 女性に多い大腸がんは早期に発見できれば内視鏡で切除することができ、多くが完治する。一度、内視鏡検査を受けて腸の状態に問題がなければ、毎年受ける必要もない。

 大腸がんと同じく女性がかかりやすい乳がんは、若いうちから検診を受ける人も多い。早期発見のための定期的な検査が声高に叫ばれるが、「年齢によってはデメリットが上回る」と医療に詳しいジャーナリストの村上和巳さんは言う。

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