「春まで冬眠」とは限らない

 特に私が懸念するのはメスのクマだ。ヒグマの子供は少なくとも1歳半、長いものでは2歳半まで母親と過ごし、その間に自然の中で生き抜く術を学習する。もし母グマがエゾシカを襲って食べる個体なら、子供もそうなる可能性が高いだろう。

 北海道のヒグマが産む子供の数は通常2頭程度。徐々に肉食性のヒグマが増えてゆく未来を想像すると、背筋が凍る思いだ。そういう意味では、OSO18が雄グマだったことは不幸中の幸いにも思える。

 さて、このクマをめぐるは、一体いつまで続くのだろう。

「熊蟄穴」(くまあなにこもる)とは、1年を4・5日ごとに分割した暦である七十二候の中の一つで、12月12日~15日の4日間を指す。日本に生息するのは、本州以南にツキノワグマ、北海道にヒグマ。両種とも、寒くなると穴にこもって冬眠する。

 元はと言えば中国で作られた暦なので(ちなみに中国でおなじみのジャイアントパンダは冬眠しない)、日本の風土に合致しているのかは分からないが、北海道に生息するヒグマで言えば、概ね私の感覚に合致する。2021年に、私が1ヶ月にわたって追い続けた大きな雄グマは、12月19日を最後に足跡を消した。

 だとすると、もうヒグマたちは穴に入っていて、2024年の春まで私たちは安心することができるのだろうか。私には、そうは思えない。

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