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スポーツ中継の違法動画配信が増加 「解説系」配信者の身勝手な言い分

2018年10月、テレビのプロ野球中継を動画投稿サイトでリアルタイムに無断公開したとして、京都府警は著作権法違反の疑いで京都市の会社役員を逮捕した。スポーツ中継の違法配信者逮捕はこれが初。ライブ配信した際に男が使ったとされるパソコンなど(時事通信フォト)

2018年10月、テレビのプロ野球中継を動画投稿サイトでリアルタイムに無断公開したとして、京都府警は著作権法違反の疑いで京都市の会社役員を逮捕した。スポーツ中継の違法配信者逮捕はこれが初。ライブ配信した際に男が使ったとされるパソコンなど(時事通信フォト)

 ただより高いものはない、という言葉がある。無料で何かをもらうと、最初から購入していたことを思うとずっと高くつく、世の中にはウマい話は転がっていないので「ただ」「無料」には気をつけろという意味だ。ところが、ネット人口が増えるにつれ、うまくただ乗りするのは賢いやり方だという誤った認識が世代を問わず広がってしまった。無料動画配信、とくにスポーツ中継の違法配信の拡大によって起きる様々なトラブルについて、ライターの宮添優氏がレポートする。

 * * *
 スポーツ専門の大手配信サイト「DAZN」が値上げを発表した。3年連続の値上げで、基本プランの月額料金だと4200円になることから、ユーザーからは「また値上げか」「高すぎて解約するしかない」など悲痛な声が上がっている。

 日本国内では、長らくスポーツ中継・放送は地上波の民放局が担ってきたこともあり、視聴者にとってスポーツは「無料で見られるもの」という意識が根強かった。しかし、スポーツコンテンツの多様化に加え、高騰する放映権料をジリ貧のテレビ局では支払えない事態に陥り、DAZNのような有料動画サイトが台頭することになった経緯は周知の通りだろう。当初は、多少のお金を払えばCMで中断される心配がない試合中継を見られると歓迎する声も大きかった。

 見たいものにはお金を払うのが当然という意識が浸透していくかに見えた反面、有料化や高額化が進む中で、スポーツコンテンツがネットへ違法にアップロード、はては生配信される事例が後を絶たず、関係者が苦心している。都内の大手広告代理店勤務・佐藤茂さん(仮名・30代)が頭を抱える。

「弊社も関与している、世界的に注目された日本人ボクサーの試合は、有料動画サイトの独占配信でした。ところが、YouTubeを始めとしたSNS上にリアルタイムで違法配信される例が目立ちました。中には、同時接続者数が1万人近い違法ストリーミングも数多くあり、損失は計り知れない」(佐藤さん)

「解説系」違法配信がスポーツ中継にも増加

 ボクシングだけではない。サッカーや野球、そしてバスケットボールなど人気があるスポーツの世界的な大会や注目の試合が行われる際、ネット上には必ずこうした違法配信者が現れ、遵法意識の低いユーザーらが殺到する。ここで配信されている動画は、多くが正規配信の画面を無法者が横流ししているものだ。なかには、モニターの枠が見えているような雑なものもある。こんなものを誰が見るのかと思ってしまうが、意外に視聴者を集めている。

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