3年連続の値上げが発表されたスポーツ専門のビデオ・オン・デマンド・サービス「DAZN」(PA Images/時事通信フォト)

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 ユウさんはバスケが好きだからとキレイな言い方をしようとしているが、その理屈は破綻している。専用カメラや画面に得点などを表示させる編集、映像を配信するための会場からネットワークへの回線などの設備投資に投資をせず、違法なただ乗りを薦めているからだ。好きだと言うバスケの選手が努力して積み重ねてきたことに対して、報酬が必要ないと言っているようなものだ。もっといえば、選手たちが得るはずの報酬を盗んでいることに他ならない。正直なところ、自身を正当化するにしても、もっとマシな言い訳がないものかと呆れるほかない。

 都合が悪いことから目をそらしているだけではないのかと思ってしまうが、違法行為に手を染めているという実感はほとんどない、とさらにユウさんは話す。実際、ユウさんが違法にアップロードしている映像には「素早くまとめてくれてありがとう」など、視聴者から感謝のコメントが多数付き、ユウさんは「役に立っている」という姿勢を崩さない。だが、さまざまに権利を侵害した映像を公開している事実は変わらない。前述の「ファスト映画」のように、摘発される危険は感じていないのか。

「日本国内の正規配信元の映像を使えばアウトでしょうが、私は映像を海外の配信元から引っ張っているので、問題ないですね。だいたい、本当にアウトならとっくに逮捕されているでしょう? 運営側も、私たちがバスケ人気の一端を担っている事実があると認めていることに他なりませんよ」(ユウさん)

「海外のサイトから~」などと主張しているあたり、摘発されないよう「姑息にやっている」ことを自ら暴露しているようにも思える。いま摘発されていないのは”たまたま”であり、権利者が本気で告訴に踏み切った場合、法治国家である日本ではそれ相応の罰がくだされる。ネットで完全匿名は無いのだからお粗末なものだと思ってしまうが、ユウさんは「理論武装」をしているつもりらしい。また、違法動画で得られた収益についても、さらに呆れた言い訳を続ける。

「解説をつけるに当たって、僕は誰よりも勉強していますからね。動画をアップロードするのにも時間と手間がかかるので、収益はその対価です。というか、僕を悪者にしようとしていますけど、あくまで引用の範疇で、プロフィール欄にも断りを入れているでしょう。記者なのにそんなこともわからないんですか。だからマスゴミって揶揄されるんですよ」(ユウさん)

 引用とは自己の著作に副次的に使用するものであり、他人の著作が主となっているものは引用とは見做されない。引用の概念をねじ曲げ、正当化する姿勢にもはや著作権上で許容される引用について指摘する気も失せてくる。違法であることに開き直っている者よりも、ユウさんのように「合法」だと主張する人たちこそ、実は厄介だ。このような思考の持ち主が一定数いるからこそ、今なおネットにはこうした違法動画が溢れかえる。

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