SNS経由で無料ライブ配信情報に騙されカード被害
違法動画が激増することによって起きる問題は、コンテンツの正規配信者やスポーツ選手の利益を奪い取るだけにとどまらない。違法動画の視聴を「当たり前のこと」として捉える子どもたちによって、新たなトラブルが引き起こされている。都内在住の会社員・坂口仁志さん(仮名・30代)が訴える。
「ある日、10万円近いクレジットカードの請求が届いたんです。調べたところ、海外の通販サイトで決済されていたようですが全く身に覚えがない。家族に聞いたところ、息子が勝手にカードを使っていたことが発覚。どうしても見たい海外サッカーの試合があり、あるサイトに登録してしまったのだと白状しました」(坂口さん)
坂口さんの息子が登録していたのは、SNSで見つけたサッカーの試合を「無料配信」しているとうたうサイトだった。そこでは試合映像の配信を視聴するために、料金は発生しなくても「クレジットカードの登録」が必要とのアナウンスが表示されていた。そのため、親のカード情報を登録したらしい。SNS経由で、動画配信サービスを装ったフィッシングサイトに誘導されていたのだ。
「サイトを見たところ、海外サッカーだけでなく、日本国内の学生スポーツの試合など、ありとあらゆる試合が配信されているように見えましたが、やはり実際には配信されていない。情報に疎く、法律を守る意識がない人たちを呼び込み騙す、明らかな詐欺サイト。違法に無料で視聴できるコンテンツに慣れている息子は、どうしても無料で見たいという欲求を我慢できず、私のカードで勝手に登録してしまったんです」(坂口さん)
坂口さんの息子が騙されたのはフィッシングサイトだったが、同様の手口でアプリをダウンロードさせ、やはりクレジットカード情報を入力させて盗むやり口もある。
遵法意識が低いが故に、自ら騙されにいくような愚行に及ぶのは子どもたちだけではない。まっとうなコンテンツに正当な対価を払う、という当たり前のことができない人たちが増えると、コンテンツそのものが消えてなくなってしまいかねない。バカバカしくもあるが、こうした普通のことを言い続けるしかないのか。