二階堂ふみと言葉をかわす宍戸開
『ヒミズ』、『脳男』、『私の男』などでキレキレ演技
二階堂といえば、昨年7月クールのTBS「日曜劇場」で放送され、大ヒットした『VIVANT』のヒロイン役が記憶に新しい。彼女に対して“通好みの作品に出演するこだわり女優”といった印象があるとしたら、それは10年以上前の出世作の影響だろう。
二階堂は2012年に『ヒミズ』、2013年に『脳男』、2014年に『私の男』など、社会派問題作とも言える映画に立て続けに出演していたのだ。
ある事件をきっかけに運命が狂っていく15歳の男女を描いた『ヒミズ』では、染谷将太とダブル主演し、「ヴェネチア国際映画祭」で日本人初となる最優秀新人俳優賞を獲得。同作では「日本アカデミー賞」の新人俳優賞も受賞している。
『脳男』では“人間爆弾”によって連続無差別殺人を巻き起こすサイコキラー役を狂気的に演じ、『私の男』ではダブル主演した浅野忠信との濡れ場を体当たりで演じて歪んだ愛の顛末を体現してみせた。
余談だが、筆者は2017年からシリーズがスタートしたバカリズム原案のドラマ『住住(すむすむ)』の大ファン。同作で二階堂演じる本人役が実にキュートで、どハマりしていた。他作品とのギャップが魅力的だったのだ。
いずれにしても『ヒミズ』で世間に名を知らしめ、その後も『脳男』『私の男』といった“エグい作品”にて憑依型のキレッキレ演技を見せていたため、“役者・二階堂ふみ”のイメージがその段階で固定されたままだと、胸キュン恋愛ドラマの主演が意外に思えるかもしれない。
しかし、近年の彼女の作品選びを見ると、エッヂの効いた問題作ばかりではないことがわかる。