ライフ

生活の質を落とす「副鼻腔炎」に内視鏡と注射薬が効果を顕示

「副鼻腔炎」の症状を改善させる方法は?(イラスト/いかわやすとし)

「副鼻腔炎」の症状を改善させる方法は?(イラスト/いかわやすとし)

【週刊ポスト連載・医心伝身】前号で慢性副鼻腔炎の2つの分類を紹介した。増加傾向の好酸球性副鼻腔炎は経口ステロイドで治療するが、再発を繰り返しやすい中等症以上では、まず手術を行なう。以前は上顎の歯茎を切開し、頬の骨に穴を開けて実施する手術だったが、現在は鼻の穴から内視鏡を挿入して行なう低侵襲な手術方法が主流だ。手術後も再発する症例に対しては生物学的製剤の注射薬が効果を発揮している。

 好酸球性副鼻腔炎は先進国に多く、日本でも1990年代後半から患者が増えている。白血球の一種である好酸球が血液中だけでなく、鼻腔にも増加し、左右両側に複数のポリープを生じさせる。

 発症すると初期から嗅覚障害(匂いがわからない)や鼻づまりが生じ、気管支喘息を合併することも多い。また鼻づまりなどの症状から睡眠障害や集中力低下、生産性の低下につながり、生活の質にも悪影響を及ぼす。しかも難治性で、再発を繰り返す性質があり、難病指定されている。

 治療はステロイドの服用が効果的だ。ポリープが縮小して鼻づまりや嗅覚障害などの症状が改善する。しかし、休薬してしまうとポリープが再発するケースが多い。

 引き続き、順天堂大学医学部附属順天堂医院耳鼻咽喉・頭頸科の中村真浩医師に聞く。

「この疾患は経口ステロイド治療でも再発を繰り返す特徴があるため、難治例には内視鏡下副鼻腔手術を行ないます。以前の副鼻腔手術は上顎の歯茎を切開し、上顎骨に穴を開けてアプローチする方法が主流だったので、顔面フレームの変形などのリスクがありました。それが現在は鼻の穴から内視鏡を挿入して鼻腔内を鮮明に観察しながら低侵襲な手術を実施することが可能です。さらに内視鏡により、ポリープを除去する以外にもポリープが再発する可能性のある隔壁(土台)を削り取ることができ、鼻腔および副鼻腔の単洞化(4つの洞を1つの空間にする)を目指せます」

関連キーワード

関連記事

トピックス

ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
ラブホテルから出てくる小川晶・市長(左)とX氏
【前橋市・小川晶市長に問われる“市長の資質”】「高級外車のドアを既婚部下に開けさせ、後部座席に乗り込みラブホへ」証拠動画で浮かび上がった“釈明会見の矛盾”
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン