「今年のもうひとつの目標は小学生の孫娘と2人でデートすること。2人きりだと緊張しちゃうんだよね」と目を細める一面も

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学生時代に演劇の価値観が大きく変わった

 風間杜夫といえば、舞台『蒲田行進曲』(1980年〜)をはじめ、劇作家で演出家の故・つかこうへいさんの舞台に多数出演していたが、つかさんと出会うはるか前から、演劇活動を始めていた。

「もともとぼくは子役だったんです。人見知りでおとなしいものだから、母親が心配してね。8才の頃に児童劇団に入りました。10才頃には東映の子役として周りの大人たちから“うまい”とほめられて活躍していたんですけど、1963年に映画『真田風雲録』に出演した際は、加藤泰監督から初めて厳しく指導され、苦しみましたね。どう演技しても“違う、違う”って、何度もやり直しで、半日以上OKが出なかった。それまでは、“いかにも子役”といった型にはまった演技を要求されてきたんですが、加藤監督からは自然な演技を要求されたんです」

 しかしこの経験がきっかけで、いまに通じるリアルで自然な演技を追求するようになっていった。

「テレビドラマでリアリズムを初めて取り入れたのは、ショーケン(故・萩原健一さん)だったと思うんですよね。1970年代初めくらいからかな。それまでは、実際にはそんな話し方をしないだろうという、いかにも役者っぽい演技が求められたんです。ところが、ショーケンの登場以降、芝居はうまいへたより、その人にしかない雰囲気が重視されて、個性を拾い上げるスタイルになっていった。せりふ回しも、普段誰もが話しているようなリアルで自然な話し方や所作を求められるようになっていきました」

 1960年代末〜1970年代初め、風間は早稲田大学で演技を学びながら、「俳優小劇場」の養成所にも通っていた。

「この頃は学園紛争の影響で、若者の価値観が激変した時期でした。芝居も、既成のものに反発した学生や若者たちが、自分たちの手で作ろうとしていました」

 それで、当時の仲間で、後に同居もする大竹まこと(74才)や斉木しげる(74才)、さらに、きたろう(75才)たち(後のシティボーイズ)と22才のとき、劇団『表現劇場』を立ち上げたのだという。

(後編へつづく)

【プロフィール】
風間杜夫(かざま・もりお)/1949年東京生まれ。8才で児童劇団『東童』に入団し、翌年に東映児童演劇研修所の一期生となると、13才まで子役として活躍。早稲田大学第二文学部に入学し(後に中退)、演劇活動を再開する。1971年、大竹まことらと『表現劇場』を旗揚げし、1972年、日活ロマンポルノの映画で「風間杜夫」として銀幕デビュー。1977年からは劇作家・つかこうへい作品に出演するようになり、その名を知られていく。1983年、紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。2023年春の叙勲で旭日小綬章受章。

【最新舞台情報】名優たちの“競演”が見もの!
『大誘拐〜四人で大スペクタクル〜』
2月6〜11日に東京・シアター1010で公演(愛知・大阪・兵庫・山口など全国13か所を巡演予定)
大富豪とし子(白石加代子)の誘拐を企てる戸並健次(中山優馬)だが、身代金の低さに激高したとし子に逆に主導権を握られ……。協力者のくーちゃん(柴田理恵)、立ちはだかる警察本部長・井狩大五郎(風間杜夫)も巻き込んで、大波乱を巻き起こす抱復絶倒の大誘拐劇。

編集協力/桜田容子 撮影/政川慎治

※女性セブン2024年2月15日号

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