イラン戦でプレーする三笘薫(時事通信フォト)
たしかに冨安も「(全てを)帳消しにしてしまうクオリティーや能力があればという見方もできる。良くない時に1人で守るとか、勝手に点を取っちゃうとか、超越した選手になるってことも目指すべき」と話していた。
それを象徴する例がある。とかく日本と比較対象に挙げられる韓国代表は、下馬評は低かったにもかかわらず、ラウンド16のサウジアラビア戦、準々決勝の豪州戦と、2試合連続でロスタイムに同点ゴールを決めて、勝ち進んだ。日本とは逆に、韓国のサポーターたちは試合のたびに応援のボルテージは上がっている。
「イランにはアズムンや日本戦では欠場したエースFWのタレミ、韓国にはソンフンミンやイガンインなど、強烈な個性でチームを引っ張り、勝利をもぎとる絶対的な選手たちがいます。しかし、いまの日本代表にはそういった個で試合を決定づける“強い選手”が少ない。いや、いないといっても差し支えないでしょう。“巧い選手”は大勢いても、かつての本田圭佑のような勝負強さ、雰囲気を一変させる選手がいないのが実情です」(別のスポーツ紙記者)
闘争心とは、単に表に現れれば良いというものではないが、このまま日本代表におとなしいイメージが定着するのは、サッカー人気の面においても辛い流れだ。
この3月には、2026年W杯北中米大会アジア2次予選が始まる。アジア出場枠は、大幅増の8枠となり、過去に比べて本大会出場の難易度が下がる一方、どうしても緊迫感は薄まる。
放映権料の高騰で、国民の誰もが見られる地上波中継が激減するなど、注目度が下がる要素ばかりで、日本代表を取り巻く環境も、決してベストではない。
今大会前まで、国際Aマッチ10連勝と絶好調だった日本代表が陥った落とし穴。二度と同じ失敗を繰り返さぬためには──三笘薫(26才)や久保建英(22才)ら才能豊かな選手は多いだけに、今こそ野球の大谷翔平のような、土壇場でも大活躍できる“スーパーヒーロー”の誕生が待たれる。
