スポーツ界では、スノーボードの竹内智香選手が(時事通信フォト)

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アメリカで起きた卵子紛失トラブル

 心身や経済的な負担に加え、懸念すべきは卵子の保管に関するトラブルだ。

「不妊治療において、病院が受精卵を紛失して訴訟が起きているケースは少なくありません。

 そうした問題は、凍結卵子でも起こり得ます。また、今後卵子凍結が広がることで“卵子を預かるだけで保管料を稼げるから”と新たに参入する病院も増えることが予測されます。しかし経営母体がしっかりしていない病院は、倒産する可能性がある。そうなった場合、凍結された卵子が使えなくなる可能性は充分に考えられます」(室井さん)

 米シカゴでは、保管されていると思っていた卵子が、当初と違う別の保管センターで管理されていたケースもあったという。

 卵子凍結にはあらゆるリスクが伴うことは、しっかり理解しておくべきだろう。

 大西さんは「よく考えて決めるべき」とアドバイスする。

「メリットがあるのは確かですが、イェール大学の医師も、“決して簡単な方法ではなく妊娠を約束するものでもないため、すべての人に適しているわけではない”と注意を促している。自身の健康状態や人生プラン、費用など多くの要素がかかわるので、簡単に飛びつくべきではありません」

 熟考を重ねたうえで凍結を決めたなら、大事なのは病院選びだ。河合さんがアドバイスする。

「ホームページなどを見て、すでに生殖補助医療(ART)の実績があり、体外受精の妊娠率が高いところを選ぶことをおすすめします。卵子凍結は体外受精の技術を使うからです。また、ノンメディカルな卵子凍結が容認される前から医学的な卵子凍結で経験を積んでいることも多いです」

 室井さんもホームページの情報を確認することが大前提だと話す。

「詳しく情報開示がされている病院は信頼できます。卵子凍結のメリットだけでなく、デメリットが書かれていることも必須で、卵子の保管方法もチェックしましょう。卵子や精子を扱う専門家『胚培養士』在籍の大切さを情報発信しているかどうかもポイントです」

 子供を持ちたい女性にとって、「新たな光」となる卵子凍結。理解を深めてうまく味方につけたい。

※女性セブン2024年2月22日号

卵子凍結で赤ちゃんが誕生する確率は

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