咳止め薬も依存に注意を(写真/PIXTA)
咳止め薬も甘く見てはいけない。
「咳中枢の働きを抑えるコデインリン酸塩という成分が含まれていますが、依存性があることが指摘されています。依存には“のまないと痛くなるからやめるのが怖い”といった精神的依存と、“のまないと手が震える”などの肉体的依存もある。気づいたら手放せなくなってしまっているという状態に陥ると抜け出すのは簡単なことではありません」(長澤さん・以下同)
実際に、前述の若者たちのオーバードーズで問題視されたのも咳止め薬だ。
「コデインリン酸塩は麻薬と同じ成分で、医療薬では10%以上だと麻薬扱いになります。市販薬には1%しか配合されていないとはいえ、規定の10倍のめば麻薬と同じことになって、のみすぎればトランス状態になってしまう。呼吸抑制の副作用があり、最悪の場合は呼吸停止に至ります」
依存性の高さから濫用が危惧されるのは睡眠薬だ。
「処方薬に比べれば、市販の睡眠薬は効果が弱い分、副作用も強くはありませんが、それでものみ続ければ効果がより薄くなってしまうため、大量に服用したり、処方薬に“グレードアップ”してしまう人もいる。脳に直接作用し、伝達物質を減らしたり増やしたりする薬で認知機能に障害が出ることもあります」
花粉症シーズンには抗アレルギー薬が手放せなくなる人も多いが、悩まされる代表的な副作用は強い眠気。睡眠薬について、長澤さんがこう指摘する。
「そもそも、抗アレルギー薬の眠くなる作用を主成分にしたものが市販の睡眠薬です。抗アレルギー薬の一種である抗ヒスタミン薬は、神経伝達物質のヒスタミンを抑えることでアレルギー反応を抑えます。睡眠薬と同様に幻覚などの副作用があり、意識喪失や呼吸障害、けいれんなどを引き起こすこともあり、長期間による服用は睡眠薬を濫用しているのと同義です」
漢方やサプリメントも副作用の“宝庫”
注意すべきはのみ薬だけではない。貼り薬や塗り薬も、絶対安全とは言い切れないという。
「ステロイドが配合された塗り薬は、顔や首、手など太陽光に当たるところに塗ると、シミの原因になる。大量に塗れば肌への刺激が強まります。ステロイドには細胞分裂の速度を遅くする効果がありますが、これはそれが悪い方に働いてしまうケース。弱いステロイド薬なら大丈夫ですが、いまは中程度の効き目のある薬も市販されているので、使い方に気をつけましょう」