脚本を担当する高野水登さん
英勉監督は「役者さんのことをすごく大事にする監督」
スーパー戦隊は宿命的にメインキャストが多くなる傾向にあるが、それぞれがキャラ立ちしている。それどころか、王たちそれぞれに仕えている側近たちまでもが個性的で人気を博している。
「僕は大学まで演劇をやっていたのですが、学生演劇だから出演するのは友達です。友達に「『こんにちは』って出てきて、君の出番は終わり」なんて言えないじゃないですか。なんらかの役割をあげたい。それは映像の脚本を書き始めてからずっと意識していますね。
僕が最初に映像の脚本を書いたのは英勉(はなぶさ・つとむ)監督の『3D彼女 リアルガール』だったんです。英監督が、役者さんのことをすごく大事にする監督で『生徒A』『生徒B』って書いた脚本を渡すと、全部それに名前をつけていたんですよ。やっぱそれがあるだけで役者さんもやる気が出るだろうし、それによってキャラクターも生まれる。『今日撮影来て良かったな』って思えるような、記号的にならないセリフを割り振るというのを心がけるようになりましたね」
実際、民衆のひとりであるゴローゲ(八木光太郎)もモブキャラになりかねないキャラクターだがなくてはならない存在に。起こった出来事を表面的に受け取り、深く考えることなく称賛したり、罵倒したり直情的な反応をする憎まれキャラながら、その生来のコミカルさで愛されている。
「ゴローゲは現場で作ってくれましたね。王国の物語なのに主に登場するのは王様ばかりになってしまいがちなので、国民の代弁者のようなキャラクターは必要だと思って書きました。
(直情的な反応をするから)嫌われ役になっちゃうだろうなと思って心配していたら、現場でなんかすごい大声で演技をしてくれて(笑)。それがネタになって愛されキャラになったのでありがたかった。だから放送を見てから、僕がそちらに寄せるように、台本に『~!!!!』って『!』マークを増やしました(笑)」