2020年8月の新井元町議
「発言内容はすべて虚偽ですよね?」「はい」
2023年11月1日に前橋地裁で開かれた民事裁判の第二回口頭弁論の本人尋問においても、新井氏は“性暴力の告発は嘘だった”とみずから認めた。この民事裁判は、黒岩町長が新井氏のほか電子書籍を発行した飯塚被告、そして「新井祥子元草津町町議を支援する会」の会長を務めていた中澤康治町議を相手取り計4400万円の損害賠償を求めている訴訟だ。
尋問で原告代理人が、2019年の電子書籍発表後に渋川市役所で行われた記者会見のことを問いただした際、新井氏は次のように答えている。
原告代理人「記者会見で『私は平成27年1月8日、町長と強要されて肉体関係を持ちました』とあなたが発言している映像が流れているのは知っていますか」
新井氏「はい」
原告代理人「あなたがそう発言したんですよね」
新井氏「はい」
原告代理人「肉体関係はなかったですよね」
新井氏「はい」
原告代理人「強要もされてなかったですよね」
新井氏「なかった。強要。まあ」
原告代理人「それから会見の映像では『町長は私を抱き寄せてキスされて押し倒されて』とあなたが発言している場面が映ってますが、覚えていますか」
新井氏「記者会見のことはずいぶん前のことなので覚えていませんが、そちらが把握しているのであればそうだと思います」
原告代理人「今のあなたの発言内容はすべて虚偽ですよね」
新井氏「はい」
同じ日、新井氏に続いて尋問に臨んだ黒岩町長は「事実無根も甚だしいと思います。全くのうそです。天地神明に誓って指一本触れていません」と改めて潔白を主張。新井氏が性被害を受けたと主張していた当日の町長との面談時の録音データが15分ではなく、1時間分あったことを知った町長は、それを聞いた上で無実を証明すべく、検証を行なった。
「私も職員を立ち合わせ、実験を何度もしてみました。新井氏の音声テープを聞くとわかりますが、(はじめは)ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、とすごい音がします。町長室に入って座るとその音が消える。つまりあれは衣摺れの音です。私もポケットに入れたりしてボイレコや携帯の録音機能を使ってやりましたら、それがすごい音で入ります。ですからもし私がどこかで話の最中にでも胸なりを触ったとするならば、必ずそれが雑音として入るわけです。それがない」
町長によればつまり、問題の録音データには町長室に入ってから衣摺れの音がなかったのだという。
この民事裁判での本人尋問から2か月後の今年1月22日、刑事裁判ではフリーライターの飯塚被告に対する判決が言い渡された。飯塚被告はそれまでの公判において「新井氏の告発を真実と信じ、信じるに足る相当な理由があった」として名誉毀損は成立しないと主張していたが、橋本健裁判長はこの主張を退け、「新井氏と相互に通じ合い名誉毀損に及んだ」と認め、懲役1年執行猶予3年の判決を言い渡した(求刑懲役1年)。
「被告人が新井氏と共謀のうえ、虚偽のスキャンダルを電子書籍に掲示し、町長の名誉を毀損した。この結果、虚偽が流布され、町長の名誉は著しく毀損された。犯情は悪く、軽く見ることはできない」(判決より)
新井氏の虚偽告訴と名誉毀損の刑事裁判は、2024年2月現在もまだ開かれていない。そんな新井氏は、前述したやり取りの通り2023年11月の民事裁判の本人尋問で「町長との肉体関係はなかった」ことは認めているものの、同じ日の本人尋問のなかでは、また別の主張を繰り出しているのだ。以下のように述べている。
「最初は町長の話を、アドバイスを含め聞いていたんですけれども、だんだん私の体を触ってくるようになって上着の中に手を入れて胸を触られたりですとか、スカートから太ももを触られて、体を色々ベタベタ触られたということがありました」
新たに“ボディタッチがあった”と証言した新井氏に対して、黒岩町長の代理人は「嘘のことを会見で発言し、町長に辞任を求めるあなたの態度について、今ここで反省しているということはないんですか」と追及。すると新井氏は「私が被害にあったことは間違いがないので反省はしておりません」と回答し、あくまでも“被害はあった”と主張した。