(時事通信フォト)

傘寿を過ぎても意気軒高に活躍を続けていた(時事通信フォト)

 4月には舞台『そして誰もいなくなった』の公演を控え、3月から稽古に入る予定だった。

「最後にお目にかかったのは昨年12月です。そのときはまだ台本ができていなかったのですが、山本さんはアガサ・クリスティの原作をお読みになっていて、コロナ禍で軒並み中止になった舞台にまた立つことに情熱を燃やされていました。もうすぐ稽古が始まる予定だったのに、残念でなりません」(舞台を主催する保坂磨理子さん)

 生涯独身を貫いた山本さんは、“孤独死対策”も考えていた。

「ひとり暮らしのリスクをしっかりと理解されていました。マンションのコンシェルジュに、“1日に1回は必ずゴミ出しなんかでロビーに顔を出すので、1日見かけなかったら部屋へ様子を見に来て”とお願いしていたようです。入院セットもかばんにまとめ、その置き場所も伝えていた」(前出・山本さんの知人)

 親しい人を相次いで亡くし、孤独を実感していたがゆえの言動だったのかもしれない。突然の訃報に、山本さんと親しかった知人は彼女の口癖を思い出したという。

「山本さんは、仕事でもプライベートでも、帰り際に『さようなら』とは口にせず、いつも『またお会いしましょう』とおっしゃるんです。だから、いつでもまたお会いできると思っていたのですが……」

 誰にもさよならを告げることなく静かに旅立った山本さん。最後まで美学を貫いた波瀾万丈の女優人生だった。

※女性セブン2024年3月14日号

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