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「大人ニキビ」でうつ病のリスクは2倍に、ただの肌トラブルではない、北欧の研究が明らかに

「大人ニキビ」でうつ病のリスクは2倍に(写真/イメージマート)

「大人ニキビ」でうつ病のリスクは2倍に(写真/イメージマート)

 ニキビがあると憂うつという人は多いかもしれないが、実際に大人のニキビを経験している人は、ニキビのない人と比べると、心を病む傾向があるようだ。

 2024年1月、フィンランド、オウル大学の研究グループが医学誌に報告している。

大人のニキビと心の健康の関連調べる

 肌のトラブルは、単に外見上の悩みを超えて、精神的な病気にもつながる可能性があるという。しかし、具体的な関連については必ずしも十分に研究されたわけではないようだ。今回、フィンランドの研究グループは、大人のニキビと心の健康との関連を明らかにするために研究を進めた。

 この研究では、北フィンランドの1966年生まれの人たちを追跡調査した「北フィンランド出生コホート1966」の参加者1907人のデータを利用して、46歳時点でのニキビの状態と心の健康との関連を分析した。

 参加者には、皮膚科医による検査を受けてもらい、ニキビの有無を確認した上で、うつ病や不眠症、不安障害、健康に関連した生活の質(QOL)などがアンケートで確かめられた。こうして大人のニキビが、心の病気にどのように関連するかが調べられた。

ニキビがある人の2割にうつ病の症状

 この研究から判明したのは、大人のニキビがある人は、うつ病のリスクが2倍に高まるという事実。

 大人のニキビがある人は全体の7.9%で、性別で差はなかった。ニキビのある参加者では、18.9%の人がうつ病の症状を示し、これはニキビのない人の9.7%と比べて高い数値となっていた。ここからうつ病の症状を示すリスクが2倍と計算された。

 研究グループは、大人のニキビを経験している人では心の健康にも配慮する必要があると指摘している。美容皮膚科でよく扱われる肌トラブルの一つ、ニキビ。ニキビは単純に悩みの対象というばかりではなく、病気にもつながるというのは注意する必要がありそうだ。

参考文献

Leskelä M, Jokelainen J, Huilaja L, Sinikumpu SP. Adult Acne in Middle-age: Effects on Mental Health in General Population of the Northern Finland Birth Cohort 1966. Acta Derm Venereol. 2024 Jan 25;104:adv14733. doi: 10.2340/actadv.v104.14733. PMID: 38270258; PMCID: PMC10831867.

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【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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