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真矢ミキさん、フォトエッセイで明かす心の内「佐藤愛子さんの本を読んでなかったら、ここまで攻め込んでなかったかも」

『いつも心にケセラセラ』

エッセイ『いつも心にケセラセラ』を上梓した真矢ミキ

【著者インタビュー】真矢ミキ/『いつも心にケセラセラ』/産業編集センター/2090円

【本の内容】
 収録された書き下ろしエッセイは全54編。どれも冒頭から魅力的。《突然ですが、私、実は内向的です》(「心地よさから始まって」)。《私は一時期、手品にハマっていました》(「研究所の扉」)。《酒場やバーにフラッと入るのって好きなんです》(「至福のレシピ」)。《人からいただいたものを捨てられない》(「美醜」)。衒いなく、率直に心の内を明かしていて、その真っ直ぐな文章に「文は人なり」の言葉を思い起こしつつ、元気がもらえること請け合い。

 宝塚のトップスターで、退団後は俳優としてテレビや映画の第一線で活躍している真矢ミキさん。四季になぞらえ人生を語るフォトエッセイからは、飾らない人柄と、真摯な生き方が伝わってくる。

 読者に直接、語りかけるようなあたたかみのある文章は、いったん語りおろして原稿にしたものに、自分で手を入れ、加筆したそうだ。

「私は役に入るとそのことしか考えられなくなっちゃうん

ですね。そのたびに本の仕事は中断してしまって、思ったよりまとめるのに時間がかかってしまいました」(真矢さん・以下同)

私は人の言葉を聞くのが好きなんだなってわかりました

 本の出版は、親しいカメラマンを通じて申し込まれた。ブロードウェイの舞台のアンバサダーをつとめたとき、ポスター撮影に来た写真家の女性が実は親戚だとわかり、親しいつきあいが始まった。本に収録された写真を撮ったのも彼女で、写真にうつる真矢さんが柔らかな表情を見せているのも納得がいく。

 15歳で宝塚に入って、下から3番目の成績からトップスターにのぼりつめた。その後は映像の世界にすすみ、東京オリンピックの開会式という大舞台での活躍も記憶に新しい。青春、朱夏、白秋、玄冬とつづられるなかで、60歳になった真矢さんの玄冬のパートが充実している。

「書き足したのは玄冬のところが多いですね。親友とのことや、兄のこと、犬を見送ったこと。書いておきたいことが次々出てきて」

 バレエダンサーであるパートナーや家族との関係性も率直に描かれている。都心に暮らす真矢さんが、マンションのお隣さんと食材や器の貸し借りをするぐらい、親しい近所づきあいを楽しんでいるというのも意外に思えた。

「私にも警戒心というものはありますけど(笑い)、これは胸襟を開かないでどうすると思うぐらいすてきな、それでいて適度な距離も保ってくださるかたなので。いま住んでいるところは3度申し込んでようやく入居できたから、私、『持ってるな』と思います。もし2度目で入れていたらお隣さんとは階が違ってたので、ここまでの関係にはなっていないかもしれないですもん」

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